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ノーパン宇宙

ナスカの巨大な地上絵は、宇宙人が描いた、あるいは宇宙人再臨のための目印である、という説があります。
しかし調査・研究が進めばきっと、そのような突飛な説は、残念ながら今よりもさらに下火になっていくでしょう。
宇宙人が関与していたという、壮大なロマンの可能性を残すには、どうすればいいのでしょうか。
これ以上調べない、これ以上真実を探らないのが、一番ではないでしょうか。
 
 
 NO PANTS
 
 
中学生の頃、俺は一時期ある妄想にとりつかれました。
きっかけは、友人の一言だったと記憶しています。
 
「クラスの女子が実は、みんなノーパンだったりしてな」
 
彼がどういう会話の流れで、そんなことを言ったのかは覚えていません。
ただの下世話な冗談として軽く笑って、その場では、またバカなこと言ってるな、と思っただけでした。
 
ぼんやりと休み時間を過ごしていた時、ふいにその一言が頭をよぎりました。
「実はみんなノーパンかも知れない」
あり得ません。非常識です。バカな話です。
 
しかしよくよく考えると、確かめたわけではありません。
穿いているのか、穿いていないのか。
直接見て確かめたわけでもないのに、ノーパンはあり得ないと決め付ける理由が、どこにあるのでしょうか。
 
スカートの下には必ず下着がある…この固定観念は、どこからきたのでしょうか。
今までの経験でしょうか。
人から聞いた話や、大人の教育の成果でしょうか。
本やテレビの洗脳でしょうか。
 
それまで俺は、スカートめくりをしたことはありません。
物心がついてから、いわゆるパンチラを実際に目撃した記憶もありません。
階段の下からスカートの中を覗く、ということも、したことがありません。
したい、見たい、と思うことはあっても、実際にする度胸はないし、それなりの道徳観も持ち合わせています。
 
つまり俺は、その時気付いたのです。
女子のスカートがめくれる(めくる)、あるいは脱げる(脱がす)、あるいは中を覗く…するとそこに下着があった。
そんな事実を人から聞いたり、テレビや漫画で見たりしたことはあっても、実体験したことがないと。
 
もちろん、下着を穿くのは、現代日本では常識とされています。
ノーパンは、余程のアクシデントに見舞われた時の不可抗力か、変態の行為であろうことは、想像に難くありません。
 
しかしそれでも、それはあくまで植え付けられた常識に過ぎないのです。
そんな常識にとらわれている自分に対する違和感が、日に日に増していきました。
 
シュレディンガーの猫、という量子論の思考実験があります。
詳しく説明できるほど俺は理解していませんが、箱に閉じ込めた猫の生死が、箱を開けて見るまではわからないと。
これは、中の状況が見えないから、ではなく、見るまで確定していないということ。
箱を開けるその時(観測がなされる瞬間)に、初めて真実が確定するのだ、という不思議な話です。
箱を開けるまでは、生きた猫と死んだ猫が、両方の可能性として、同時に存在しているというものです。
 
哲学的でもありながら、れっきとした科学の題材です。
うまく説明出来ていないし、例え話として少々ずれているかも知れませんが…。
 
スカートの中のパンツは、実は存在が確定されていないのではないか。
確認した時、かなりの確率でパンツを穿いているのだとしても実は、両方の可能性を秘めているのではないか。
1000人のスカートをめくってパンツを見たとしても、1001人目以降はみんなノーパンなのではないか。
 
女子を見る目が変わりました。
スカートをなびかせて、颯爽と歩く女子たち。
その下にパンツを穿いているのかどうか、それは確定していない。
 
存在は、観測されて初めて証明される。
観測されていないとき、月は存在しないという人もいた。
少なくとも俺が観測をしていない以上、俺にとっては、彼女たちがノーパンである可能性が残る。
こんな妄想です。
性徴期とも重なり、学校で不意の勃起に悩まされる、そんな日々を初めて経験しました。
 
(シュレディンガー、などの例えは、中学生当時具体的に考えていたわけではありません。
しかし存在の曖昧さや、観念論につながる漠然とした苛立ちは、常に感じていました)
 
さすがにクラス全員、在校生全員、果ては全人類の女性に考えが及ぶと、思考が止まります。
3人の女子に的を絞りました。
同じクラスのエー子とビー子、そしてクラスは違いますが、幼なじみのアイです。
当然というのもいやらしいのですが、俺がかわいいと思っている女子たちです。
その妄想以前から、俺は当時エー子に軽く片思いしていました。
 
しかし的を絞ったと言っても、自分が具体的に何をしたいのかわかりません。
彼女たちがパンツを穿いているかどうかを、調査し確認する、という具体的な行動が目的ではありません。
それでは犯罪になりかねません。
 
むしろ俺は、スカートの中を見たくはないのです。
見れば恐らく、パンツを穿いていることを知ってしまう、それが分かっているからです。
見なければいつまでも、ノーパンの可能性を残すことが出来るのです。
 
エジプトのピラミッドも、これ以上研究しなくていいと思っています。
そうすればいつまでも、宇宙人が建立したのかも知れない、というロマンを残すことが出来るのです。
 
目的は、観測ではなかったのです。
つまり、ノーパンかも知れない彼女たちを想像し、妄想し、自慰の際の興奮を刺激すること。
 
これを突き詰めると、彼女たちがパンツを穿いている可能性を、自分の中で少しでも排除する必要があります。
男子に聞こえるように、女子が下着について会話をすることは少ないので、その辺は心配ありません。
ただ彼女たちの、ごく日常の仕草や言葉の、ひとつひとつを吟味するのです。
そしてそれが、今ノーパンであることの後ろめたさや気まずさによって、導かれたものであると。
そう思い込むように努力するのです。
 
エー子が階段を昇る時、スカートを押さえるようにしていた。
(ああ、ノーパンだから当然気にするよな)
 
風の強い日、ビー子がスカートがめくれる心配をしていた。
(ああ、ノーパンだから当然気にするよな)
 
アイが友達に「スカート短いよね、私はそこまでは無理」と言っていた。
(ああ、ノーパンだから当然気にするよな)
 
しかし…当たり前ですが、ノーパンだろうが穿いていようが、これらの言動は普遍的なものです。
これでは満足できません。
 
限界を感じました。
いくらパンツの存在を疑おうとしても、ノーパンの可能性を信じようとしても…。
今までの人生でこびりついた、常識や固定観念を拭い去るのは、あまりにも難しいのです。
 
スカートの女子がそこに立っている、彼女はノーパンなのだと想像してみる。
確かにそう思えば、立ち居振る舞いや表情が、ノーパンであることに起因しているかのように、見えなくもありません。
しかし俺の想像力では、「見えなくもないと言えなくもない」、ただそこまでなのです。
 
実際にノーパンになった女子と、穿いている女子、この違いがどこに表れるのか。
俺の経験だけでは、あまりにも情報不足です。
 
考えると頭が痛くなりました。
結局、スカートの中にはパンツがある、その常識に身を任せる方が楽なのだと、今さらながら気付いたのです。
妄想で自慰行為が盛り上がったのも一時期だけで、ノーパンのことはいつの間にか、考えなくなっていました。
 
 
 NO PANTS
 
 
高校2年のときに、初めての彼女が出来ました。
彼女のユウとは、中学も同じでしたが、高校生になってから、委員会活動を通じて親しくなりました。
俺は、妄想はしますがそれを表に出すことはなく、普通の真面目な男子で通っています。
ユウも真面目で、おとなしいタイプでした。
それでも付き合いが数ヶ月にも及ぶと、キスも経験し、お互いの性の部分への興味が募ってきます。
 
しかし彼女は、男女問わず平気で猥談にふける人たちに、嫌悪感を示しました。
ある女子が、もう彼氏と経験したとか喜んでる、バカみたい、とか。
ある男子が、下らない下ネタを大声で言うから気持ち悪いとか。
愚痴のように俺に吐き出してきます。
 
エス太君(俺)はそんなイヤらしい人じゃないよね、と釘を刺していると同時に、興味や好奇心の裏返しに思えました。
俺はそう感じていました。
そしてユウが、俺の真面目な部分に惹かれて付き合うようになったことも、わかっています。
だから俺は自分の劣情を、ユウに対してどう表していけばいいのかわからず、悶々とした日々を送っていました。
 
ユウはユウなりに時々、思わせぶりな態度をとることはあります。
しかし俺が調子に乗って体に触れたりしようとすると、嫌がるのです。
ユウも興味と嫌悪感の間で、葛藤しているように見えました。
性行為を焦って求めていた訳ではないものの、ユウとの恋愛関係は時折気まずくもなりました。
 
男子への嫌悪を示す理由のひとつとして、ユウが経験した、中学3年時の事件の話をしてくれました。
ユウは当事者ではありませんが、学校でパンツ紛失事件があったというのです。
水泳の授業のあと、3人のパンツがなくなっていたそうです。
 
先生に報告したかどうかはわかりませんが、表ざたにはならなかったようです。
一部の女子の間での噂にとどまりました。
3人が女子にいじめられていた事実はないため、男子が盗んだに違いないと言う結論が残ったそうです。
 
その3人が誰なのか、ユウが話すことはありませんでしたが…。
話の内容から俺は、その内の2人がエー子とアイではないかと思い当たりました。
あのとき正に、ノーパンであることを期待して、俺が観察していた女子のうちの2人。
 
当時プール授業は男女別で、2クラス合同です。
ユウとアイは3年3組。
エー子は4組で、俺と同じクラスでした。
 
同じクラスのかわいくて小さい子(恐らくアイ)、隣のクラスで、男子から一番人気があった子(恐らくエー子)。
というユウの話し方で何となく分かりました。
もちろん俺の想像通りとは限りませんが、想像せずにはいられません。
 
パンツ紛失後2人が、どうやって危機を乗り切ったのかまでは、ユウは話しませんでした。
そこまで知っていたかも知れませんが、俺も突っ込んで聞くことははばかられました。
 
中学3年の夏と言えば、もう俺はあの妄想をしなくなっていた頃です。
そのため、その頃女子のスカートの中に想いを馳せることはありませんでした。
俺は猛烈に後悔しました。
その2人は、プールのあと半日以上、ノーパンで過ごしたのかも知れないのです。
しかし俺はその頃は妄想をやめ、当時目を付けていたエー子やアイを観察することもしていませんでした。
 
もしよく見ていれば、ノーパン女子特有の言動に気付くことが出来たかも知れません。
女子が学校でパンツを完全に脱ぎ去る、唯一と言っていい状況、それはプールの時間。
そこから派生するノーパン状態の可能性に、なぜ気付かなかったのか。
なぜその最適の季節に、俺は妄想をやめてしまっていたのか。
悔しくて仕方ありません。
 
たかがそれだけのことで、と今は思いますが、その時は悔しくて眠れなくなりました。
キスまでした彼女の存在も忘れるくらいです。
あの夏のある一日、ノーパンだったかも知れないエー子とアイを思い出し、何度も自慰行為に耽りました。
 
そして再び、ノーパン妄想にとりつかれる日々がよみがえったのです。
ユウとの仲を進展させることは、優先事項ではなくなりました。
垢抜けない中学生時代と違い、スカートの短さをおしゃれとばかりに競う、半分大人の女子高生たち。
揺れるスカートや、膝裏と太ももの陰り、その奥に潜むノーパン宇宙の可能性に、心を奪われるようになりました。
(罪悪感からか、ユウが妄想対象になることはありませんでした)
 
そんなことを考えている自分が変態であろうことはもう、自覚していました。
それでも、そんな内面を表に出さないようにすることが、男の矜持であり、女性に対する礼儀だと考えていました。
スカートの中をこっそり覗くなどという愚行に及ぶことはありません。
どちらにしろ、目的は妄想だけです。
 
しかしやはり、妄想を無理に閉じ込めることは、精神的にも肉体的にも負担を生じさせます。
何回射精を繰り返しても、性欲が治まらず、疲れが溜まる一方です。
俺はアイに、パンツ紛失事件当時の様子を聞いてみようと思いました。
パンツを失くした女子たちが、その後どうにかして乗り切ったのか、ノーパンで過ごしたのか、知りたいのです。
 
アイが当事者と決まったわけではありませんが、何かを知っているかも知れません。
事件が男子嫌悪の理由のひとつだと言うユウには、詳しいことは聞けそうにありません。
 
アイも同じ高校に通っています。
高校2年の秋の頃の話です。
 
 
 NO PANTS
 
 
幼なじみであるアイは、十分かわいいのですが、俺は昔から恋心を意識したことはありません。
小学校の頃は他にも、仲の良い女子がいたからだと思います。
 
あるいは潜在的には、好意を持っていたかも知れません。
しかし少なくともこの時は、かわいいと思いながらも、恋愛対象ではありません。
自慰の妄想に使ったことを、後ろめたく感じてはいましたが、小学校の頃は、気兼ねなく話せる女友達の1人でした。
 
しかし中学以降話すことも少なくなっていたので、事件のことをなかなか聞き出すきっかけが掴めません。
どうにか幼い頃の感覚で、久しぶりに家でゲームしようぜ、などと誘うのが精一杯でした。
 
アイは昔から俺の幼い弟も知っているので、家に来ても、弟も一緒にゲームをしたり、話をしたりします。
だからやましい気持ちが少しはあっても、彼女(ユウ)がいるのに他の子と遊んでいるとか、浮気だとか。
そんなことは思っていませんでした。
 
ところがアイにとっては違いました。
何度目かに家に遊びに来てくれたとき、ユウのことを聞かれました。
アイはユウと、さほど親しくはありませんが、中学、高校と一緒で、高校2年のこの時、2人は同じクラスです。
俺とユウが付き合っていることも知っています。
 
ユウと遊ばなくていいの、と聞いてきたり、頻繁にアイを誘う俺を不審に思ったりしたようでした。
「呼んでくれるのはうれしいけど、何かあったの」
「ユウとうまくいってないの」
「何かあったら相談してね。ユウのことで悩んでるんだったら、私がユウに話してみてもいいし」
 
このように、結構本気で心配してくれているのがわかり、うれしくもあり、心苦しくもありました。
パンツ失くしたのはアイだったの、そうだとしたら、そのあとどう過ごしたの…俺が聞きたいのはそれです。
 
しかしそんな卑猥な空気になりかねない話題は、見栄もあって、とても持ちかけられる雰囲気ではありませんでした。
歯切れが悪く、当たり障りのない会話しかできず、表情の晴れない俺を見て、アイはイライラしてきたようです。
 
「もういいよ!心配してる私がバカみたいじゃん」
 
「ごめん」
 
「もう、ふられればいいじゃん!そしたら私が…いるんだし」
 
それだけ言うと、その日はアイは帰ってしまいました。
怒らせたショックですぐには気付きませんでしたが、その言葉は、俺に対するアイの気持ちでした。
アイを性愛の対象として見ながら、恋愛感情は持っていなかった俺です。
それでも、さすがにその気持ちは、じわりじわりと心に染み込んできました。
 
彼女のユウとは淡白な付き合いだと自覚していましたが、特に不満があるわけではありません。
嫌いになるということはなく、別れる、ふられるなどということは、想像もしていませんでした。
アイの気持ちを知るまでは。
 
 
 NO PANTS
 
 
ある日アイが、呼んでいないのに家に遊びに来ました。
小さい頃は、突然家に来るのは珍しいことではありませんでした。
しかし今は思春期真っ盛り、しかも先日のよそよそしさを引きずったままです。
それでも追い返す気にはなれず、とにかく家に上げました。
 
「こないだの続き(桃鉄的ゲーム)しにきた?」
 
「うん」
 
という会話のあと特に言葉が続かず、2人で淡々とゲームをしました。
気まずさをどちらも態度に出さないよう、沈黙してしまいましたが、結果的にはその沈黙が、気まずさを強調します。
そんな中、しばらくして、アイがゲームをしながらポツリと言いました。
 
「エスちゃん(俺)さ、…たまってるんじゃない」
 
「…な、何だよ」
 
「だからさっ、ユウが、その、なかなか進ませてくれないから、ぎくしゃくしてるんじゃないかって、思ったんだよ。
まだキスまでなんでしょ」
 
「何で知ってるの」
 
「ふう、やっぱそうか。そうだろなって思っただけ!あの子ちょっと潔癖症なとこあるもんね」
 
「あー、うん、そうかも」
 
「でさ、…どうなの。その…したくて悩んでたの?」
 
「べ、別に。毎日オナニーしてるし」
 
「ばかっ。そんなの聞いてないのに、もう!」
 
「お前が突然、きわどい話してきたからだよ!俺も普段ユウにもこんなノリじゃないよ。
…でも、ありがとな。やっぱアイは、何でも話しやすいな、昔から」
 
「そそ、そうだよ!何でも話していいんだよ?、ね、ね、何で最近、私呼ぶようになったの」
 
「えー、それは、うーん」
 
「し、したくなった、とかじゃない…の?」
 
「そんなんじゃないよ」
 
「あ、あ、ごめん!そだよね、そんなわけないよね…」
 
アイは、勝手に大人びて気取ってしまうようになった俺に、昔と同じように遠慮なく接してくれました。
いえ、無理に気遣って無遠慮を装っているようにも見えます
俺に好意を持ってくれているのが、十分伝わってきました。
俺もその気持ちがうれしく、もじもじしている仕草がかわいく、アイを愛おしく感じている自分にも気づきました。
 
そして、芽生え始めた純粋な感情とは裏腹に、欲望が思考を支配し始めました。
アイの気持ちを利用して、妄想を具現化したいという欲望です。
 
この気持ちが、アイへの愛情なのか、妄想を発展できるという期待感・高揚感なのか、わからなくなってきました。
 
ユウに対する気持ち、アイに対する気持ち、自分の妄想、性欲、良心、道徳、いろんなことが頭の中を回転しました。
もともとはパンツ紛失事件のことを探るために、アイに接触したのです。
当時のエー子やアイの様子を知り、妄想の材料にするつもりでした。
それが、こんな風に自分の気持ちが変わってくるとは、予想できませんでした。
 
「でもね、悩んだら相談、乗るからね。私………好きだから」
 
そう言ってアイは、無言で帰り支度を始めました。
その言葉で頭が空っぽになった俺は、その場でユウの携帯に電話をしました。
そして別れを告げたのです。
 
突然の宣言にもユウは特に驚かず、理由も聞かず、淡々とした態度でした。
ですが、わかったとか、さよならとか、了承する言葉を口にすることもありませんでした。
別れよう、急にごめん、今までありがとう、などという俺の言葉に、ただ相槌を打つだけです。
最後に「うん、じゃあ、ね」と言ってユウは、電話を向こうから切りました。
 
完全に勢いでの別れ話でした。
それだけに、ユウの冷めた反応が気になりましたが、その時は深く考えませんでした。
 
今にも帰ろうと支度をしていたアイは、黙って傍で聞いており、子犬のようにふるふると肩を震わせています。
 
「お前のせいだからな、責任取れよ」
 
「うわ、あ、ごめん、どうすれば」
 
俺は告白されたのをいいことに主導権を握り、貸しを作ったような物言いで、アイを弄ぶことを考えていました。
もちろん、ついさっきまでの良心と愛情と妄想との葛藤は、まだ続いていました。
しかしアイの献身的な態度に、俺の嗜虐心が目覚めてしまったのです。
尊厳や羞恥心や、これまで俺を想っていてくれたアイの信頼を、崩壊させる結果になってしまうかも知れません。
 
でもアイなら、俺の妄想を理解した上で協力してくれる。
ここまで来たら、無理矢理にでもそう信じるしかありませんでした。
 
「アイ、俺変態だけど!それでもいい?」
 
「えー、怖い…何」
 
勢いで別れ話をしたあと、少々気持ちが高ぶった俺は、無意識に声が大きくなっていたようです。
アイがおびえているのが分かりました。
俺のことを好きって言ったのを、後悔するのではないか…しかし、もう引き下がることは出来ません。
 
「…脱げよ」
声が震えました。
 
「何それ、何で?いきなりそうなるの?やだよ、やだ!」
 
「パンツだけでいいから」
 
「あは?エスちゃん意味わかんないよ、ばか!」
 
「俺がしたくてアイ呼んだ、って覚悟してたんじゃないの?」
 
「それはー!ちょっと思ってたけど、こんなのやだよ、怖いよ!キスもまだなのに!」
 
ああ、そうか。
俺は無言でアイを抱き寄せると、両腕で強く拘束し、唇を塞ぎました。
口を開いて、アイの唇全体を覆うように吸い付きました。
強く閉じた唇に舌で割り入ろうとすると、んふー!と喉の奥を鳴らしてアイは抵抗します。
しかしその抵抗も長くは続かず、ついに俺の侵入を許してくれました。
 
彼女のユウとは、唇に触れるだけのキスしかしていません。
粘膜同士で触れ合う初めての行為は、性的興奮に直結し、最大限の勃起を誘いました。
俺の舌はアイの前歯をなぞり、下唇の内側の唾液をさらい、小さな舌を突付いて誘い出します。
それに応えるように、恐る恐る俺の口内を訪問するアイの舌に、俺はしゃぶりつきました。
ん、ひ、と声を漏らすアイ。
 
そうやって夢中でお互いの唇と舌を貪りあっている内に、キスに塩味が混ざっていることに気付きました。
アイは涙を流していました、それも思い切り。
漏れていた声が嗚咽だったことを知りました。
 
数分続いたであろうキスを終えて唇を離したとき、アイは泣きながら笑っていました。
 
「あはは、エスちゃんエッチ!これ私ファーストキス!オトナ過ぎ!もう、ばか!」
 
怖さと恥ずかしさを誤魔化すような、少し無理のある真っ赤な笑顔でした。
 
「でもちょっと嬉しい」
 
そのかわいい笑顔に心が安らぐと同時に、嗜虐心がしぼんでいくのが分かりました。
これ以上ない官能的なキスを経てこの時に、アイへの愛情を改めて、はっきりと自覚したのです。
だからこそ、俺の妄想に付き合わせることに、ためらいを感じました。
妄想は封印しなければならないだろう、この子をただ大切にしたい、そう思えました。
 
ところがです。
俺とはまったく逆で、今のキスが、アイの好奇心を呼び起こしてしまったようでした。
 
「変態だから無理矢理キスしたの?変態って何?」
 
「あ、あれはもういいんだ、ごめんな」
 
「気になるよ!どうせ男はみんな変態なんでしょ」
 
泣き止んだものの涙で濡れた、大きな黒い目を輝かせて、そわそわと問いかけてくるアイ。
今度は俺が気圧されることになりました。
 
「いいから言ってよ」
 
「あー、あのさ…お前いつも、パンツ穿いてる?」
 
「あは、穿いてるに決まってるよ!何それ」
 
中学3年時のパンツ紛失事件の噂を耳にしたと、アイに言うと、その時のことを話してくれました。
期待した通り、アイは当事者でした。
しかし、その日をずっとノーパンで過ごす、ということはあるはずもないのです。
運動部の女子から部活用の短パンを借りて、スカートの下に穿いていたそうです。
 
しかしそれでも、です。
ノーパンの時間は確かに存在しました。
短パンを借りに、プールの更衣室から部室へ向かうわずか数分ですが、紛れもなくノーパンだったと言うのです。
 
そのわずかな時間アイは、必要以上にスカートを押さえ、誰も見ていないのにキョロキョロと辺りを見回しました。
何とも言えない緊張感で、体が熱くなったそうです。
それが性的興奮だったのかどうかは、聞けなかったし、聞いてもわからなかったと思います。
 
そして、宿命を感じずにはいられない話を聞きました。
ユウの話を聞いた時は、パンツを失くした3人を完全に特定することは出来ませんでした。
しかしアイの話で判明した3人とは。
それは、エー子とアイというのは俺の推測通りで、そしてもう1人は何と、ビー子でした。
 
当時俺のノーパン妄想の対象だった、3人が揃ったのです。
この3人がノーパンだったら、と妄想に胸を膨らませていた俺ですが、正にその3人だったのです。
彼女たちが学校で、同時にノーパンになった瞬間が、確かに存在したのです。
実は俺が無意識に、3人のパンツを盗んだんじゃないか、と自分を疑うくらいの、奇跡的な偶然の一致でした。
(単にかわいい子が狙われたのだとすれば、ある意味必然かも知れません)
 
俺は感激で胸が熱くなりました。
その事件を、リアルタイムで実感できなかった悔しさも多少ありましたが、とにかく嬉しかったのです。
心の中でガッツポーズをしました。
俺は間違っていなかった!(?)と。
 
気が付くと俺は、アイの手を握り、真顔になっていました。
 
「ありがとう。好きだよ」
 
軽くキスをしました。
ノーパンの話から突然、アイからすれば脈絡のないお礼と愛情表現をされ、わけがわからないといった表情です。
 
「何でその話になったの」
 
「俺、お前がノーパンかも知れないって思うと興奮するんだ。ごめん」
 
正直に言いましたが、アイだけでなく他の女子にも適用される妄想であったことには、とりあえず言及を避けました。
 
「何それ~!露出狂?違うね、何て言うのそれ、確かに変態っぽいけど…」
 
驚きはしたものの嫌悪の表情を見せず、むしろ興味津々のアイ。
そんなアイに俺は、ユウとは違う好印象を持ち、安堵感に包まれ、願望を伝えることにしました。
 
「ノーパンになって欲しい」
 
「ばか!今ここで?え、学校で?やだやだ出来るわけないでしょ!もうあんな怖い思いするのやだよ」
 
「違う!実際にじゃないんだ」
 
「はあ?意味がわからないよ」
 
「ほんとは穿いててもいいんだけど、俺の前では、穿いてないってことにして欲しいんだよ。
なるべく本気で、穿いてないつもりで振舞って欲しいんだよ。
俺は、お前がノーパンかどうかを確かめない。
だから安心してって言うのも変だけど、ノーパンを演じ切って欲しいんだよ。
ほんとは穿いてるくせに、って俺に思わせないくらいの」
 
興奮して一気にまくし立ててから、声が大きかったことに気付いて恥ずかしくなり、急に後悔が押し寄せてきました。
真面目な俺がずっと内側に秘めてきた、卑猥な妄想を告白するのは、やはり途轍もなく恥ずかしいことです。
さすがに嫌われるかも知れないと思い、アイに顔を向けられず、うつむいてしまいました。
 
「あは!何それ、おもしろそう!」
 
アイの反応は、期待していながらもあり得ないと思っていた、肯定的なものでした。
いや、期待以上です。
俺に嫌われないように、渋々話を聞く程度が関の山だと思っていたからです。
もしかするとあるいは、気を遣って乗り気を演じたのかも知れません。
しかし顔を上げると、そうは思えないアイの笑顔がありました。
戸惑いながらも、嬉しくなりました。
 
「エスちゃん、おもしろいこと考えるね。ノーパンごっこかあ(笑)」
 
俺がずっと悩み、胸を膨らませ、自己嫌悪に苛まれもした妄想。
それをノーパンごっこの一言で片付けられ、目からうろこが落ちる思いでした。
そうか、ノーパンごっこ。
 
アイのあっけらかんとした態度に、随分と気が楽になりました。
ユウと違って、アイは明るくて、恋愛にも性にも積極的に見え、とても新鮮な喜びがありました。
積極的な恋人、を飛び越え、変態的行為の同志、と言える存在にさえなってくれること。
それは奇跡と思いたいくらい嬉しいことでした。
 
その時アイは私服で、キュロットスカートを穿いていました。
おもむろに立ち上がったアイが、キュロットのホックを外します。
 
「見て見て!」
 
少しだけファスナーを下ろし、ニコリと笑うアイ。
白黒ストライプのパンツのほんの一部を見せると、トイレ借りるね、と言ってアイはトイレに行きました。
 
そして、トイレから戻って来たアイの手には、くしゃくしゃに丸まった白黒の布がありました。
 
「それひょっとして」
 
「…うん」
 
まともに見せることは恥ずかしいようで、アイはそれを素早くバッグにしまうと、かしこまったように正座をしました。
恐らく汚れているか濡れているであろうパンツです。
しかし当時の俺は、女性の下着の汚れ方を知りません。
性的刺激で女性が濡れるということも、実感が湧かなかったため、恥ずかしがる心理はよく理解できませんでした。
 
本当に脱いできたのでしょうか。
 
「スカートじゃないから大丈夫だけど、やっぱ何か、不安になるね…」
 
「ふりだけでいいって言ったのに」
 
「スカートじゃないから…。それにふりかどうかは関係ないでしょ。
エスちゃんに、穿いてないって思わせるってこと?それが重要なんでしょ。
ほんとは替えパン持ってて、穿き替えただけかも知れないよ?
そうだとしてもそれは言わない。そういうことでしょ?」
 
「え、あ、うん、ありがと」
 
礼を言うことしかできませんでした。
俺の考えを完璧以上に理解してくれた上に、早速ここまで行動してくれる。
嬉しいながらも戸惑いもあり、アイの今まで知らなかった一面を知った思いです。
 
「あは、私もこれで変態かな…えへへ」
 
この日何度か見た照れ笑いが妙に艶かしく見え、勃起していたものがさらに熱くなるのを感じました。
キュロットは、なびくこともめくれることもなく、足を開いてもその奥に視線が届くことはありません。
 
しかしパンツを穿いていないと認識するだけで、まったく違うのです。
太ももと布地の間のわずかな影は、その奥に存在するはずの宇宙を、否が応でも思い起こさせます。
そこにある、というだけで、俺を射精にまで導きそうな興奮を誘うのです。
 
最大限に勃起したものに、アイは気付いていました。
視線でわかります。
そして無言の時間が流れ、この先の展開を何も考えていないことに気付きました。
俺は妄想を告白し、アイは理解してくれた。
そして、そして…?
 
アイは最後まで俺に体を預けることを、覚悟してくれていたはずです。
それでも、童貞の俺、妄想が実現したことで我を忘れ、どうしていいか分からない俺。
妄想だけなら自慰をして終わるところですが、しかし今目の前に両思いの女の子がいるという事実。
気が付くと2人とも正座で向かい合っていました。
 
考えすぎて身動きが取れないでいる内に、弟と母親が帰ってきてもおかしくない時間が迫っていました。
しびれを切らしたようにアイが言いました。
 
「あ、あのさ、今度は学校帰りに、続きしに来ていいかなっ…」
 
この続き、それはセックス以外に考えられません。
俺は心臓のドクン!という大きな鼓動で、体の芯が揺れるのを感じました。
アイはプレ*ステを見ながら言っていたので、ゲームの続き、と言いたかったのかも知れません。
しかしそれは照れ隠しで俺から視線を外しただけで、その表情から、本当に言いたいことが何なのかは明らかでした。
 
そして、学校帰り、という言葉。
 
アイの家は歩いて行ける距離にあり、俺の家よりも駅寄りのため、平日に来る時でもアイは一旦家に帰ります。
そして気軽な私服に着替えてからやって来ます。
少なくとも、最近俺の家に来るようになったアイが私服のスカートを穿いてきたことは、ありません。
 
ここであえて学校帰り、とアイが言ったのは、制服のスカートで来るのが確定していることを意味します。
もちろん瞬時に意味を理解した俺の返事は、言うまでもありません。
学校帰り、という条件がなくても断りませんが、スカートで俺の家に来ることで、ノーパンごっこがどう発展するのか。
期待せずにはいられませんでした。
 
玄関でアイを送り出す時、また深いキスをしました。
先のファーストキスほどではないにしろ、舌を絡めあう大人のキスでした。
 
「あ…ッ」と声を漏らしたアイが唇を離し、一瞬俺の目を見て恥ずかしそうに笑います。
 
「あの…あー、まずいまずい、また!明日学校でね!」
 
そう言ってアイは、あわててドアを開けて走って行きました。
家まで送ろうかと迷っていた俺は拍子抜けしましたが、家族がいない間に自慰を済ませたく、部屋にこもりました。
 
ずっと勃起していたものを解き放ち、そして驚きました。
今までにないほど濡れていたからです。
おびただしい量の粘液にまみれていたのは、むき出しの亀頭だけではありませんでした。
陰茎の半分程までが艶々とぬめりを帯び、下着をも湿らせています。
 
それを握って亀頭の滑らかな手触りを実感した時、アイの態度の理由が分かりました。
別れ際のあのキスで、濡れてしまったのではないでしょうか。
最初のキスでも濡れたかも知れませんが、その時は確実にパンツを穿いていたはずです。
 
送り出したあの時点で、本当にノーパンだったなら、濡れてしまうことは災難になりかねません。
キュロットに染みたり、場合によっては内ももを伝って垂れてくるかも知れません。
 
性的興奮で、女性がどれ程濡れるものか、俺は知りませんでした。
しかし自分の濡れ方を見て、アイが慌てた理由を悟ったのです。
 
あのキスでアイが、濡れるほど感じてしまったこと。
濡れて困るということは、本当にノーパンだったということ。
ふりではなく本当に穿いてなかったのだ、ということを、俺は確信しました。
 
確信とともに訪れた興奮は、平時の比ではありません。
アイも実感していたであろう性的興奮も合わせて想像すると、快感は無限に増幅しました。
 
握った手を数回往復させただけで、大量の精液は噴出に耐えることが出来ませんでした。
 
普段は射精感とともにティッシュを用意するのですが、間に合いません。
左の掌で受け止めました。
しかし脈動に合わせて跳ね上がる陰茎を制御し切れず、精液を床に撒き散らす結果となりました。
 
そして左手にあふれる、出したばかりの精液を、陰茎に塗りつけることを思いついたのです。
初めて、立て続けに2回自慰をする、という行動に出ました。
カウパー腺液だけでは得られない滑らかな手の滑りに、俺はやがて、2回めの射精を迎えました。
 
その2回を含めてその日は4回射精し、興奮を抑えて眠りにつきました。
 
 
 NO PANTS
 
 
翌日学校でアイを探しましたが、クラスが離れているため、会って話が出来たのは昼休みも終わる頃。
田舎の高校ですが、少しでもおしゃれに興味のある女子は、セーラー服のスカートを膝上まで巻き上げていました。
アイも例外ではありません。
 
しかしこの日、アイのスカート丈は、膝小僧が完全に隠れるほどになっていました。
その理由を俺は、考えるまでもなく知っています。
とは言え、昨日の今日で、学校でも行動してくれるとは思っていなかったため、嬉しい驚きを隠せません。
嬉しかったのですが、あえて知らないふりをし、アイに聞きます。
 
「何でミニスカートやめたの?」
 
「だーってさ、……穿 い て な い も ん…」
 
恥ずかしそうにスカートの前を軽くさするアイ。
その言葉と仕草だけで俺は、尿道が疼くのを感じ、勃起は最速で最高潮に達しました。
 
「えへへ、ノーパンでミニは最高にやばいもんね」
 
「無理しなくていいんだから」
 
「大丈夫!スースーして寒いし、どきどきするけど、トイレはラクだったりして、あは!」
 
「俺も興奮してる!ありがと」
 
「でもエスちゃん、中学から真面目さんになったと思ってたら、実はエッチなことも考えてたんだね」
 
いわゆるムッツリスケベを改めて指摘されるのは、猛烈に恥ずかしく、うろたえてしまいました。
そんな俺の気持ちを察するように、アイは明るくフォローしてくれます。
 
「あは、おかしいと思ってないよ、嬉しいよ。
今まで誰にも言えなかったんでしょ?私にだけ言ってくれたんでしょ?」
 
…アイは、ずっと寂しかったのだそうです。
中学以降、思春期に突入した俺の態度が淡白に感じられ、接点がなくなっていったからです。
 
俺は知らなかったのですが、アイとは遠縁に当たるらしく、アイは俺を誇りに思い、愛情を持っていてくれたようです。
俺は小学生の頃から級長や委員会活動などで、クラスの中心にいました(人気者という意味ではありませんが)。
自分で言うのも何ですが、中学高校でもスポーツ以外は成績上位なのです。
幼なじみが優等生に成長したこと、そして秘密を共有する関係になれたことを、アイは嬉しそうに話してくれました。
 
「えへへ、私もエスちゃんが一緒にいる時だけだからね、ヘンタイになるの」
 
人目を盗んで軽くキスをして別れ、アイの後姿を見守りました。
スカートの両脇を軽く手で握り、小さな歩幅で学校の廊下を小走りするアイ。
何度か振り返り笑顔を見せながら、その姿はやがて女子トイレの中へ消えて行きました。
 
もちろん、本当に穿いていなかったとは思いません。
しかし、わずか数分ながら学校でノーパン状態を経験したというアイの仕草は、リアルに感じられます。
確かめるということをしない以上俺は、信じるしかないのです。
 
また、アイがトイレに入って行ったのも、俺にとっては効果的でした。
さすがに一日中ノーパンでいることにリアリティはなく、俺と会った後はトイレでパンツを穿くと。
そのつもりでトイレに入ったわけではないかも知れませんが、そう俺に思わせるための行動としては十分です。
 
そして、おもしろいシチュエーションは、階段です。
階段の最上部に立つアイ、最下段で見上げる俺。
スカートの陰の向こうに何かが、見えそうで見えない、微妙な位置関係を保ちます。
俺が少しでも身を屈めると、アイはあわてて恥ずかしそうに笑い、スカートを押さえます。
 
「エスちゃんエッチ!」
 
「ちぇっ」
 
こうしたじゃれ合いも楽しいのですが、逆に、上にいる俺に向かって、アイが昇って来るパターンもあります。
昇って来る途中でわざと、前かがみになって何かを拾うふりをするアイ。
上から見ている俺にはわかりませんが、ノーパンなら、下からはお尻や、その奥の宇宙が晒されることになります。
もちろん周りに人がいる時にはしませんが、俺は上から、その光景を想像し、興奮に身悶えるのです。
 
階段での行動は、パンツを穿いていたとしても、露出趣味に繋がる興奮を誘います。
しかしノーパンだと思い込むことで、その興奮は何倍にも膨らむのです。
 
さすがに毎日ではありませんが、こうしてアイが学校で示してくれる言動は、俺の妄想を爆発させる原動力となります。
日々の自慰は内容、回数ともに充実したものとなりました。
 
アイはスカートを長くした理由を友達には、怪我をしたから絆創膏を隠したい、などと説明してしまったようです。
(実際に嘘の絆創膏を貼っていました)
そのため、程なくして、長いスカートを穿く口実を失い、元のミニスカートに戻ってしまいました。
他にもスカートを長くする口実を考えたものの、思いつかなかったようです。
「慣れてきたから、ミニだけどパンツ穿いてないよ!」ということにしてくれました。
 
学校帰りにアイを家に招く機会をうかがっていたのですが、家族不在の時間を事前に確定するのが困難です。
なかなか実現しませんでした。
俺が1人で家に帰ってから家族の所在を確認し、急遽呼び出す、ということも考えました。
しかし携帯電話を与えられていないアイには、連絡しづらいこともあって、気軽に呼び出せません。
密室で2人きりになることは出来ないまま、日々は過ぎて行きました。
 
その代わり、アイは学校で俺のために、健気にノーパン女子を演じてくれました。
先述のパターンの他、ポケットに忍ばせたパンツを覗かせ「さっき脱いできた」と言ったりします。
 
階段の例では、実際にパンツをチラリと見せたアイが、トイレに行き、そのパンツを脱ぎ、俺に確認させます。
そして恐らく替えのパンツを穿いてはいるのですが、ノーパンの信憑性を増した状態で、階段での行動をするのです。
また、ミニスカートになったことで、歩き方に慎重さが増したりと。
 
渾身の、それでいて決して大げさ過ぎないアイのパフォーマンスは、俺にとって最高の妄想材料でした。
 
 
 NO PANTS
 
 
ある日の放課後、無人の教室で2人になる機会があり、そこでアイはこんなことを言いました。
 
「ごめん、今は穿いてる、でもね」
 
ノーパンごっこは毎日するわけではなく、する日でも、四六時中発動しているわけではありません。
今穿いてる、とアイがわざわざ断わりを入れたのには、この後の行動に理由がありました。
 
上目遣いで俺の表情をうかがうと、スカートの中に両手を差し入れ、ゆっくりと手を降ろし始めるアイ。
その手が膝の辺りまで来た時、両方の親指に引っ掛かっている真っ白なパンツに気付いた俺の、尿道が疼き始めます。
アイはゆっくり片足ずつ、上履きを履いたままなので慎重に、パンツから抜き去ります。
それを見届けるまでもなく、俺の勃起は限界を超えていました。
 
「あは、脱いじゃった。エスちゃんの目の前で」
 
普段は真面目に授業を受けるのが目的の、学校の教室。
その神聖な空間の片隅で、ぴったりと両足を閉じて、中腰でもじもじと揺れるアイ。
俺は耐え切れず、キスをしました。
抱き寄せてキスをしながら、アイのスカートの中に手を入れようとした時です。
俺を押し離すとアイは言いました。
 
「だめ!確認はしないって言ったじゃん」
 
「あ、ごめん。でも」
 
「穿いてたら私うそつきになっちゃうし、穿いてなかったら、ごっこじゃなくなる、本当の変態だもん。
2枚パンツ穿いてたら、1枚脱いだだけでノーパンになったふりが出来るのはわかるよね?
でもそれは言わないし、確認しないでしょ?本当に穿いてないかどうかじゃないでしょ?
もし今確かめたら、穿いてても穿いてなくても、ノーパンごっこはもう終わりになっちゃうよ」
 
その通りです。あまりの興奮に、自分で宣言したルールを破るところでした。
真実を証明することではなく、嘘を証明させないこと、それがノーパンごっこの真髄です。
それにしても今では、俺よりアイの方が、ノーパンごっこのディティールにこだわっているように見えました。
 
「今日はここまで、でいいよね?」
 
そう言うとアイは、ゆっくり、するするとスカートを引き上げ、太ももをあらわにしていきます。
そして脚の付け根部分、つまりパンツを穿いていればパンツが、穿いていなければ淫靡な宇宙の中心が見える…。
その寸前のところで手を止めました。
 
しかしそれも数秒で、すぐに手を離し、スカートを元に戻したアイ。
 
「ううー、やっぱ恥ずい!だってほんとに穿いてないもん」
 
さっき、2枚穿いてたら…と言った仮定は恐らく真実で、穿いていないはずがないのです。
確かめないからこそ、ノーパンであることを俺は信じ込むように努力できるし、ロマンを残すことができるのです。
ほんとに穿いてないもん、と言うアイの言葉は嘘であるはずですが、確かめない限り、俺にとっては真実です。
 
穿いていないと思い込むように、穿いている可能性を忘れるように、もう一度キスをしました。
もう最高に高まった興奮を我慢できず、かと言ってアイの下半身に触れることは許されず…。
俺はアイの手を取り、ズボン越しに勃起したものを握らせました。
 
「わ、わ、固いよ、大きいよ…」
 
「お願い、さすってみて」
 
「う、うん、こう?かな」
 
「ごめん、アイ、ごめんな、もう…」
 
発射を待ちかねた器官の引金を引くには、ズボンと下着、2枚の布を隔てたぎこちない愛撫でも、十分なほどでした。
下着の中で暴発したものは脈動し、痙攣し、その動きはアイの手にも伝わったはずです。
それでもアイは手を離すことはなく、精液が出ているその間も、軽くさすり続けてくれました。
 
「あ、あー…、ね、出てるの?今これ、精子出てるの」
 
「ごめん、出てる。あ、あっ」
 
「すごーい……あ、もう終わった、のかな…?」
 
勃起は治まらないながらもようやく気分が落ち着いたとき、残ったのは、下着の中の冷たい感触と、強烈な羞恥でした。
そして、これまでアイにだけ恥ずかしいことをさせてきたという、罪悪感でした。
自分が今、羞恥を実感したことで、これまでのアイの言動のありがたさを再認識したのです。
 
「ごめんな、俺、情けないよ。俺は何もしないで、アイだけノーパン女させてごめんな」
 
「え、え、謝らないでよ、私好きでやってるよ!それに今、エスちゃんの恥ずいとこ見たから、おあいこだね、えへへ」
 
「ああ、俺、こんなとこでイッて、サイテーだ…」
 
「ううん、すごいどきどきしたよ…。また今度、ちゃんと見れる…よね?」
 
「う、うん。って、見るとか見たいとかなの?」
 
「私もうエスちゃんといつでも…いつでもOKだから、ね。
その時は私も全部…あは、恥ずかしいよね!ノーパンより恥ずかしいかも…」
 
…その時廊下の彼方に人の足音を感じ、息を潜めました。
誰も来ないことに胸を撫で下ろし、さっき脱いだパンツを俺の手に握らせると、アイは教室を出ました。
 
「それさ…今度エスちゃんちに私が行くまで預かってて。私今日はこのまま帰るね…穿いてないけど!」
 
俺から見えなくなるまで、アイはスカートを押さえたまま、慎重に小走りで去っていきました。
ノーパンで帰ったと俺に思わせるためです。
 
預かったパンツを広げ、クロッチを見てみましたが、わずかに汚れているようにも見えます。
しかし下着が古いからとも思えるし、今直接穿いていた汚れなのか、俺には判断出来ませんでした。
普通に考えれば、汚れたパンツを預けるとは思えず、2枚穿いていたうちの外側のパンツでしょう。
 
しかしそれを確かめていない俺は例によって、アイが本当にノーパンで帰った可能性を捨て切れません。
その日に限っては興奮よりも、犯罪に巻き込まれる心配をしてしまいました。
 
しかしもちろん、ノーパンごっこは俺といる時だけ。
さっき本当にノーパンだったとしても、すぐに予備のパンツを穿いたはずです。
 
余計な心配だと気付き、安心して、アイのパンツのにおいを嗅ぎました。
キスした時や抱きしめた時に感じた、ふわっとしたアイの柔らかいにおい。
スカートの中に広がる宇宙をも感じさせてくれます。
汗のにおい、柔軟剤のにおいととれるものは感じましたが、性的なにおいを嗅ぎ分けるには、俺はまだ経験不足でした。
 
 
 NO PANTS
 
 
ノーパンごっこが始まってから一ヶ月程。
アイのノーパン演技のパターンにもやはり限りがあり、飽きないと言えば嘘になります。
とは言うものの、その言動は様式美に彩られ、定番のコミュニケーションとして、2人で妄想を楽しみました。
 
もちろん、セックスへの欲求もありますが、なかなかタイミングが掴めません。
 
幼なじみであるアイが家に遊びに来ること自体は、俺の家族がいても、さほど気恥ずかしいことではありません。
ゲームしに来る、という理由なら、です。
しかしセックス、あるいはそれに準ずる行為が目的となると、家族がいる時にアイを呼ぶわけにはいきません。
 
とりあえず家に呼び、状況に応じて、ゲームだけして帰るか、セックスまで発展するかを成り行きに任せる…。
そんな柔軟な考えに辿り着かないほど、家に来るイコールセックス、という図式で頭がいっぱいでした。
 
デートは学校帰りに、ちょっとした買い物や食事をするくらいです。
田舎の立地や金銭事情、心理的な抵抗感から、ホテルに行くということは考えていませんでした。
それでもアイは、デート中にも時折ノーパンを装ってくれます。
おかげで自慰の妄想に事欠くことはなく、肉体的な欲求不満に陥ることはありません。
 
アイもはっきりと明言はしませんが、こっそり自慰行為を楽しんでいることを匂わせました。
まだ一ヶ月ということもあり、セックスへの焦りに、身を焦がして悶えるほどではなかったのです。
 
そして、休みの日などに時間をかけて遠出する、などの本格的なデートをする心境になれなかった、理由があります。
 
ユウのことが心に引っ掛かっていたからです。
 
一方的に別れを告げたのは、ノーパンごっこが始まったあの日。
あれ以来ユウから電話もメールもなく、別れを受け入れてくれたと思ってはいました。
しかし学校ですれ違っても、全く目を合わせてくることはなく、何か不気味なものを感じさせました。
 
ユウとの付き合いを知っている俺の友人達には、理由はともかく、別れたことを特に隠す気はありませんでした。
アイと付き合い始めたことも同様で、どちらも周知の事実となっていました。
そのためユウも、別れの理由がアイにあることは悟っていたはずです。
ユウと同じクラスであるアイから、ユウの様子に変化が見られないと聞いた時は、不思議に思いました。
 
ユウはおとなしいタイプですが、嫉妬深い一面もあります。
アイも、ユウから彼氏を奪う形になったことを、アイなりに気にしていました。
俺は、ユウから何か嫌がらせがあるのではないか、と心配していたため、肩透かしを食らったような気分です。
 
その後、そうならなかった理由を俺は、知ることになります。
別れを告げる前後から俺とアイが接触していたのを知っていたユウが、すんなり俺をアイに譲った理由。
彼女達の中学時代の関係。
 
そして、何かが目覚めます。
 
 
 NO PANTS
 
 
季節は冬に差し掛かろうとしていました。
学校が終わると、時間が合えばアイと同じ電車に乗り、同じ駅で降り、同じ方向に歩いて帰ります。
 
この頃にはもう、ノーパンごっこは日常のスパイス程度です。
一緒にいても、ごく普通の話題で会話を楽しんだり、人目を盗んで軽くキスをするくらいがほとんどでした。
 
その日の帰り、駅を出ると改札口にユウが立っていました。
ユウが利用する駅ではないので、俺達を待っていたのは明らかです。
驚きよりも、ああ、ついにきちんと向き合う時が来たんだな、という思いが先に来ました。
 
「アイごめんね、しつこくするつもりなかったけど、やっぱりエス太君と会いたかったから」
 
「うん」
 
もう一度、改めて別れを受け入れる意志を告げたいのだろう、と思っていました。
あるいは復縁希望から修羅場への流れかと、俺は覚悟していました。
しかしこの2人にはどうやら俺の知らない、何か秘密があるようです。
駅前の自転車置き場の奥で、話をすることにしました。
 
ユウが言いました。
 
「中学でパンツがなくなった時の話、したよね。
あの後からエス太君、何か上の空になることが多くなってた気がする」
 
ユウは俺の様子の変化に気付いていたのです。
 
「でね、そしたらアイとよく話してるのを見るようになったから、アイからあの話聞いたのかなって。
だから私嫌われたのかなって…」
 
あの話とは、パンツ紛失事件の真相でした。
 
実は、パンツを失くした女子の1人は、アイではなくユウだったと言うのです。
 
その日、制服の下から水着を着て登校したアイは、替えのきれいなパンツを持っていました。
ユウのパンツがなくなっていることを知り、アイは自分のパンツをその場で貸してやりました。
自分は友達から短パンを借りるからと言って、ユウを救ったのです。
 
アイの優しさに触れたユウは感動し、後日、アイに罪を告白します。
 
「あれね、犯人私だったんだよ…」
 
エー子とビー子のパンツを隠したのは、何とユウでした。
疑われる可能性を消すために、自分もパンツを盗まれたふりをしていたのです。
それを聞いて俺も驚きを隠せませんでした。
 
なぜ、そんなことをしたのでしょうか。
ユウは、当時男子からちやほやされ人気者だった、エー子とビー子が気に入らなかったのです。
その頃から俺を好きだったと言うユウは、俺がエー子に気があるのを察していました。
また、俺がビー子とも比較的仲良く談笑しているのが悔しく、出来心で嫌がらせに及んだのでした。
 
当時その懺悔を受けたアイは、ユウを責めることはありませんでした。
 
「私もあの2人、好きじゃなかったし!男子に媚び売ってる感じがねー」
 
その罪を暴露することなく、秘密を共有してくれたアイに対する謝意は、ユウにとって大きなものでした。
 
「だから、アイだったら、エス太君とられても諦めきれると思った。
アイじゃなかったら、絶対また、変な意地悪考えちゃったと思う。
でもね、やっぱりすっきりしなくて。ちゃんと話さなきゃって。
ごめんねアイ…。私に気をつかって、エス太君にも話さないでいてくれたんだよね…。でも今話しちゃった。
自分がしたことなのに関係ないふりして、男子をばかにする理由にして、私エス太君にも嘘ついてたんだよ、ごめん…」
 
ぼろぼろと泣き出したユウに、何と言えばいいのかわかりません。
被害者であるエー子とビー子からすれば、許せないことでしょう。
俺も、これは明らかに犯罪だと思います。
しかし、エー子とビー子、そしてアイも含め、3人がノーパンだったことに興奮し、何度も自慰を繰り返した俺。
俺に、ユウを責める資格はないように思えました。
 
「いいよ、もういいよユウ。あれのおかげで私、今おもしろいこと出来てるもん。ね?エスちゃん」
 
俺に視線を向けるアイ。
 
「うわ、そこまで言うの?やめた方が」
 
「えへへ、言っちゃう。ユウは言いふらしたりしないよ。
ユウさ、いつもパンツ穿いてる?」
 
「え、穿いてるに決まってるよ、何で?」
 
…どこかで聞いたことのある会話の流れです。
 
「エスちゃんにも内緒だったけど私…、あの事件でちょっとだけノーパンになって、すごくもやもやした!
何か、初めてエッチな気分になった」
 
「えー、何か変態みたい…」
 
「あは、ヘンタイかあ、そうかも。でもあの時思っただけで、ずっとそんなこと忘れてたけど。
あのときのもやもや、エスちゃんが思い出させてくれた」
 
「どういうこと?」
 
アイがノーパンごっこについて説明し始めました。
性に対してガードの固いユウに伝えられなかった、俺の妄想。
変質者と思われかねない妄想です。
しかし、同じ女性であるアイの言葉を通すことで、ユウの興味を強く引いたようでした。
 
「エス太君達そーゆーことしてたんだ…。でも嘘なんだから変態とは違うのかな…」
 
「嘘とは言ってないよ?それは私しか知らないから、エスちゃんにとっては全部ほんと。だからおもしろいんだよ」
 
「エス太君、そうゆうの…私には、言いにくかったんだよね、ごめんね」
 
「や、や、謝るなよ、普通言えないって。言ってもやらないだろ」
 
「じゃあ何で、アイには言ったの?」
 
「えーっと、それは…何でだろ」
 
それにはアイが答えました。
 
「私がノーパンになったことがあるの、聞いたからだよ。だから話しやすかったんだと思うよ」
 
「そっか…。私ももっと、エス太君のエッチなところ、認めてあげれば良かったんだ…」
 
ユウの顔には後悔や、真面目すぎた自分を責める気持ちが滲み出ていました。
同時に、秘密を打ち明けることが出来たという、清清しさも表れていました。
 
「私ユウと違って、胸ないじゃん。だから嬉しかったんだよ、下半身で勝負!とか思って」
 
「え、私大きいのかな…」
 
「ユウ大きいよお、エスちゃん、気に入らなかったの?」
 
「やや、見てないし、触らせてもらってないし…」
 
「ごごごめん、じゃ、じゃあ、触っていいよ!エス太君!」
 
まぶたと唇をきゅっと結んで、胸を突き出してくるユウの姿は、エロチックというよりはコミカルです。
アイと2人で軽く吹き出してしまいました。
しかしユウは、その笑いの意味を勘違いしたようです。
 
「あ、あ、ごめん!もうアイがいるもんね、私ふられたのに、ばかみたい」
 
「あ、違うよ、おもしろくてつい。うん、そうだよね、私ユウから彼氏とっちゃったよね、ごめん」
 
「ううん…しょうがないよ、私はアイみたいなこと出来ないんだし」
 
「ノーパンのこと?」
 
「…うん」
 
「ふりだけだよ。ノーパンだって思わせることが出来れば、穿いててもいいんだよ。
それだけでエスちゃん大興奮!おもしろいからやってみれば?」
 
…なぜアイが、俺を興奮させる行動を、ユウに勧めるのか分かりません。
男を奪ったという罪悪感から、もう一度ライバルに機会を与え、正々堂々と戦おうと言う布告だったのかも知れません。
いや俺には、ごっこ仲間に引き込んで面白がっているようにも見えました。
 
もともと、アイに告白された勢いでユウをふっただけの俺は、別にユウを嫌いになったわけではありません。
これがきっかけで、ユウが性に積極的になったら、俺の気持ちがどちらに傾くのか、自分でも想像がつきませんでした。
そんな俺の心境を知ってか知らずか、アイは挑発を続けます。
 
「ユウ、トイレ行って、パンツ脱いできてみて」
 
アイの言葉にユウは慌てました。
 
「そんなの多分無理、無理だよう」
 
「脱ぎたくなかったら脱がなくてもいいよ、でもとにかく1回トイレに行って、戻ってくんの。
でね、パンツ脱いで来たよ、って言うんだよ。確かめないから、嘘でもいいんだよ」
 
「う、うん、わかった…やってみる」
 
ユウが駅舎そばのトイレに向かい、姿が見えなくなったのを確認してから、俺はアイに聞きました。
 
「何であんなこと言ったの?」
 
「やらせてみて、出来なかったら、エスちゃんを諦めてくれるかなって」
 
「ふりだけだろ、出来たらどうすんの」
 
「出来るわけないよ、真面目だもんユウ」
 
じっくり時間をかけてユウが、トイレから戻ってきました。
顔を赤くして、もじもじとスカートを押さえていますが、ユウにアイのような、リアルな演技が出来るとは思えません。
 
「ごめんね…やっぱり、上手に嘘つくの私ダメみたい」
 
やはり無理だったようです。
 
「あは、やっぱね。急には無理だよね」
 
勝ち誇ったようにも聞こえるアイの台詞のあと、ユウが何かを差し出してきました。
薄い紫色の……ブラジャーとパンツでした。
思わず受け取り、唖然とする俺とアイ。
 
「脱いだふりとか、できないもん。ほんとに脱いじゃった…」
 
「まじ!え、でも、何でブラまで!」
 
「あの、えっと、パンツ脱ぐの恥ずかしいから、ブラで許してもらおうと思って…。
でもブラ取ったら、ちょっと勇気出てきちゃったから、思い切ってパンツも…」
 
真面目なユウの性格は、出来ないという方向ではなく、やるなら正直に本格的にという方向に向いてしまったようです。
正真正銘のノーブラ・ノーパン女子の登場に、俺もアイも動揺を隠せません。
 
もともとユウは性に対して消極的で、嫌悪感を示してはいたものの、興味や好奇心は見え隠れしていました。
きっかけが必要だったのでしょう。
少々強い刺激ですが、この日ノーパンごっこという変態話に巻き込まれたこと。
それはユウにとって自分を開放する、これ以上ないきっかけになったのでした。
 
「エス太君、私も変態になったら、また付き合える?ごめんアイ、私やっぱり諦めたくないみたい」
 
「あー、あー、うっそー…」
 
突如ユウが起こした自分以上の大胆な行動に、アイは心が折れてしまったようです。
ユウの秘められた情熱を呼び覚ましてしまい、自分からけしかけたことを後悔したはずです。
そして次のユウの台詞がとどめでした。
 
「私はふりなんて出来ないから…。エス太君が傍にいてくれたら、学校でもほんとに脱げると思う…」
 
「だー、だめー、もう、ユウにかなわない…」
 
アイの敗北宣言でした。
外でも本当に脱げると宣言した(実際に脱いだ)ユウにかなわないと、負けを認めたアイ。
それは同時に、今までのノーパンが全て嘘だったことを意味します。
 
嘘でもいいのです、しかし、本当だと思わせるには、嘘を認めてはいけません。
 
『真実を証明するのではなく、嘘を証明させないこと』
これがノーパンごっこの真髄でした。
 
アイが思わず漏らしてしまった真実(嘘)は、ノーパンごっこの終焉を呼んだのです。
 
 
 NO PANTS
 
 
ユウの行動に驚き、思わず負けを認めたアイは、明らかに落胆していました。
ノーブラのインパクトも強かったのでしょう。
微乳にコンプレックスのあるアイが、下半身で勝負できる!と喜んだノーパンごっこ。
その下半身に飽き足らず、魅力的な胸も武器に出来るユウがノーブラに、それも本当になったのです。
アイの敗北感は大きかったはずです。
 
俺が唯一、アイが本当にノーパンだったと確信していたのは、ノーパンごっこが始まったあの日。
アイがキュロットを穿いていた日です。
しかし今、ユウはスカートで、確実にノーパン、加えてノーブラになっています。
しかも、まばらとは言え通行人もいる、日中の屋外です。
服の中を確かめてはいませんが、ユウがマジシャンでもない限り、状況から見て疑うことは不可能です。
 
この状況にすっかり飲み込まれ、興奮し、勃起してしまっていた俺がアイに宣告します。
「お前の負けみたいだな、アイ」
 
アイはかなり取り乱していました。
 
「エスちゃん、エスちゃんの気持ちはどうなの!それが一番大事だよね?ね、ね?どっちが好きなの!」
 
すぐに答えを出せる気がしません。
もともとユウと付き合っていた俺は、進展しない関係に悶々としながらも、特に不満はありませんでした。
 
しかしそこに現れたのは、俺の妄想を全て受け入れてくれるアイ。
アイの献身的な愛情に惹かれ、一緒に妄想を楽しみ、セックス寸前の関係までになりました。
セックスは実現していませんが、これにもまだ、大きな不満や焦りはありません。
 
ただ、ノーパンごっこで得られる興奮に、限界を感じ始めてもいました。
そこに再び、強力な武器を携えて、ユウが乗り込んできたのです。
 
俺にどうしろと言うのでしょうか。
お前の負け、とアイに言ったのは、ノーパンに対する情熱の問題であり、恋愛関係の終焉を意味してはいません。
そしてユウとも、お互い嫌いになって別れたわけではありません。
 
突きつけられたのは、究極の選択でした。
ユウとの別れにけじめを付ける、そんな日になると思っていたのに、です。
いわゆる修羅場なら、まだ想定内だったと思います。
しかしここで、あの真面目なユウが、変態に目覚めるとは想定外です。
 
宇宙人の非存在(=パンツを穿いていること)を証明しないこと。
それで、宇宙人の存在(=ノーパンであること)を信じていられる。
それがノーパン妄想であり、アイとのノーパンごっこでした。
 
しかし、目の前で本物の宇宙人(ノーパン)の存在が、ついに証明されたのです。
このインパクトは余りにも強烈です。
 
これまで夢を見せてくれたアイと、俺のために本物になってくれたユウ。
俺はどうすればいいのでしょうか。
 
アイが言いました。
「私も本物になるからあ、エスちゃんお願い」
 
ユウが言いました。
「今までごめんね、私、エス太君が一緒なら恥ずかしいの我慢する。毎日学校ででも…いいよ」
 
俺は……覚悟を決めました。
ひとつだけ確かめて、答えを告げることにしました。
 
「ユウ、今その…濡れてる?」
 
「え?え、恥ずかしいよ…。わからないけど、むずむずしてるから多分」
 
「アイは、学校とかでノーパンのふりしてる時、どうだった?」
 
「ごめん、ごめんエスちゃん…。キスしたら感じたけど、脱いだふりだけじゃ感じたことない…。
だって、緊張するもん、どきどきはするけど、エッチなのとはまた別だったんだよ…。
エスちゃんが喜ぶと思って、感じてるふりしたことはあるよ、嘘だったんだよう…ごめん…」
 
ついに泣き出したアイですが、正直に話してくれました。
もともと、嘘か真実かを確かめることがノーパンごっこの趣旨ではないのです。
この展開だからアイは嘘を明かしました

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純愛・恋愛 | 【2020-02-29(Sat) 16:00:00】 | Trackback:(0) | Comments:(0)
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