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魔界の戦士 陵辱編

魔界の戦士 陵辱編



 西暦1999年7月。
 それは、なにか得体の知れぬものであった。
 気の遠くなるような長い時間をかけて、何処ともしれぬ遙か宇宙の彼方より飛来したそれこそが、古の賢者がその著作の中で予言した未来だったのかもしれない。
 光はおろか、あらゆる電磁波にすら干渉することなく、秘やかに地球へ忍び寄った、全く不可触の純粋な精神エネルギー体は、星の瞬きが支配する荒涼として凍てつく真空の世界から、高層ビルディングが連立し、コンクリートとアスファルトにがっちりと塗り固められた大地へと舞い降りた。そして、そのまま音もなく地中深くに沈みこむと、ふたたび、今度はつかの間の眠りについた。その土地で安寧をむさぼる一千万以上の人々の誰一人に知られることもなく。

 その翌朝から、人間の世界は少しずつ様相を変えはじめた。
 まず、歴史の流れの中に忘れ去ってきたような奇怪な事件が、各地で頻発するようになった。狼憑き、吸血鬼、ポルターガイスト、人喰い鬼、さまよい歩く死人…、今では三流小説やパニック映画の題材にもならなくなった、そんな古くさいオカルト現象が、現実の恐怖として人々を襲いはじめた。そして、それに呼応するかのように、科学では解明できない能力をもった人々が、一斉にその秘められていた力を発揮しはじめた。その大多数は取るに足りない程度の微力を操るにすぎなかったが、ごく少数の本物の能力者も確かに存在し、時には人々を怪異から救うのに力を貸すこともあった。
 人類はその未知の力を畏れはしたが、それが現実の生活において利用できうる力であることに気がつくと、それらの力は徐々に人々の生活へと浸透していった。
 街角に奇妙な能力者の経営する呪い屋が建ち、魔法と科学の結合によるまったく新しいテクノロジーが開発され、製品化された。技術者達の懸命の努力によって、過去のあらゆるテクノロジーとはまったく異なる超科学の分野が押し開かれつつある。
 その一方で怪現象の発生はとどまることをしらずに増え続け、人々の生活を脅かし続けていた。各国政府は魔法技術を取り入れた武装組織を編成し、怪現象と対決した。同時に、魔法の応用テクノロジーは人類社会のダークサイドにも流れこみ、闇社会においても、能力者は貴重な存在として、もてはやされるようになっていった。
 そして、運命の夜から十年の歳月が流れた。



 新宿、歌舞伎町。
 この街から、ごくありふれた普通の人々の往来が消えてから、もう何年にもなる。眠ることのない街と呼ばれ、毎夜、何処からともなく集まってくる若者やサラリーマン達で大変な賑わいを見せていた頃の喧騒は、今はもうない。ただ、朽ち果てゆく街並みだけが、わずかにその面影を残している。
 街から消え失せたのは一般市民だけではなかった。女や薬を扱っていた売人や不法入国者といった、犯罪ギリギリの世界で暮らしていた者達も姿を消し、そんな人々に替わってこの街の新たな住人となったのは、他所ではとても陽の光の下では暮らしてはいけないような、そんな剣呑な連中ばかりであった。
 今では官憲すらも怖れて近づこうとはしない完全な無法地帯と化したエリアは、歌舞伎町を中心に徐々にその周囲へと広がり続けていて、いつしか、人々はその一帯を新宿ブラックタウンと呼ぶようになっていた。

 いっぱしの犯罪者面した強面の男達ですら恐れるという、夜の新宿BT。その深夜の歌舞伎町の、さらに奥まったところに入った細い路地を、一人の学生服の少年がのんびりと歩いていた。両側に並んで建つ古びたビルに何年も前から据えつけられたままの、今ではなんの意味もなくなった派手な色使いの電飾のわずかな生き残りの明かりだけが、月も出ていない闇夜の下で若々しい少年の顔をうっすらと照らしだしている。
 十七、八歳といったところだろうか。端正な顔立ちの中に、どこかきな臭い危険な匂いを感じさせるその相貌には、薄く開いた唇が微かな笑いの表情を形作っている。黒い詰め襟の胸元をはだけたままで、ゆったりと着込み、一振りの剥き身の直刀を右手にぶらりと下げたまま、少年はゆっくりと歩を進める。
「うおおおっ!」
 不気味なまでの夜の静けさ。不意に、それを複数の男達のだみ声が破った。
 少年の背後の路地から姿を現した十人を越える数の男の集団が、怒声をあげながら少年に向かって突進してくる。男達が腰だめに構えていたサイレンサー付きの短機関銃が、押し殺した駆動音を響かせながら鉛の弾を盛大に振り撒く。
 百発をこえる数の銃弾が、たった今まで少年が歩いていたあたりの路面へ殺到して、火花を散らした。亜音速で撃ち出された金属の塊が、何年も補修もされずに痛んだままになっているアスファルトを激しく抉って、弾ける。だが、既に、そこに少年の姿はない。
 少年は路地に面していた雑居ビルの強化ガラスの窓を頭から突き破って、一階のフロアに転がり込んでいた。昔は洋品店でもあったのであろう真っ暗な室内で勢いを殺さぬまま前に一転すると、雑多な廃材が散らばる店内を隣のビルに面している壁まで一息に走り抜けて、少年は、手にしていた直刀を円を描くように振るった。常人には目にも止まらぬような速さで繰り出されたチタン綱の刃は、鉄筋入りのコンクリートの壁を熔けたバターのように易々と切り開いていく。
 そうして、瞬く間に、三つ目のビルへ侵入をとげたところで、ふたたび背後から男達の怒声が聞こえはじめた。どうやら、少年が砕き割って飛び込んだ、かつてはショーウインドウだったガラス窓のあたりまでたどり着いたらしい。
(のろまな奴等だ…。)
 少年は、密かにそう呟くと、今度は先ほどの路地に面しているはずのスチール扉を切り開いた。
 そのまま、躊躇することなく路地に飛びだす。
 五十メートルほど左手に、サブマシンガンを構えガラスの破口から中の様子をうかがっている一団が見えた。
 周囲を警戒していたうちの一人が、少年の姿に気づき警告の叫び声をあげる。一斉に振り向いて銃口を振り回そうとする男達。だが、それは滑稽なほどに遅かった。
(バカが…)
 男達が銃口を少年に向かって振り向けようとする、そのわずかコンマ何秒かのタイムロスの間に、少年は男達との間の距離をつめきってしまっていた。少年が手にした鈍い金色の刃が、薄暗いネオンの明かりを反射してキラリと光った。次の瞬間には、男達のうちの何人かが、首や腹を切り裂かれて、断末魔の呻き声をあげながら冷たいアスファルトの路面に崩れ落ちていく。
 男達が着込んでいた防護呪符が刻まれた鉄片を編み込んだ防弾チョッキも、少年の振るう剣の前には、全くの無力だった。高度の生成技術と強力な魔法付加を与えられて生み出された文字通りの魔剣は、物理的な刃そのものが届かない距離にいる目標すらも易々と切り裂いて、一振りごとに数人の犠牲者を男達に強いる。
「ひっ、ひいいいっ!」
 男達は浮足だった。
 必死に短機関銃のトリガーを引き絞っても、素早いステップで移動しながら長剣で切りかかる少年の動きを捕らえることはできない。逆に仲間を誤射してしまう者すらいる。
 逃げだそうとした最後の男が切り倒されるのに、3秒とはかからなかった。完全武装の十数人の戦闘員を一瞬にして抹殺しつくした少年は、呼吸さえも変わらぬままで、何事もなかったようにふたたび歩きはじめた。めざす建物までは、もう、そう遠くはない。

「ひとつ、ふたつ、みっつ…。そう、命の要らない、おバカさんは全部でここのつなのね」
 セーラー服の少女は楽しげにそう呟いた。
 美しい少女だ。くせのない艶やかな漆黒の髪の毛は、まっすぐに腰まで伸びて、涼やかな夜風に吹かれてふわりと揺れる。
 薄暗い路地の一番奥まったところ。三方をビルに囲まれ袋小路になっているその突き当たりに、少女は一人立っていた。その全身が、内的な魔法力のレベルをあげていくにつれて、うっすらと淡い燐光を放ちはじめている。
 薔薇の花びらを思わせる少女のローズピンクの唇が、なにかを呟くように密やかに動いている。微かに聞こえる鈴の音のような心地よい声の響きが、世界のどの国のものとも異なる言葉を紡いでいく。
「エルラスト・グ・ルウム・インフォランシャリ・レン・レラレラ…」
 だだだだだっ。
 そんな涼やかな声音を押しつぶすように、激しい靴音があたりに響きはじめた。
 路地の入り口に、自動火器で重武装した男の一団が姿を見せる。
「へへっ、とうとう、追いつめたぜ。もう、逃げられやしねえぞ!」
 男達の一人が、目を血走らせながら、そう言って怒鳴った。
 全員が手にしたアサルトライフルの銃口を油断なく少女に向けながら、それぞれアイマスク型の暗視装置を装備した男達は、まともな明かりはひとつもない暗い路地へ、ゆっくりと侵入してくる。
「へっへっへ。噂どおりのいい女じゃねーか。裸になって詫びをいれれば、命だけは助けてやんねーともかぎらねーぜ、おい」
 男達が、自分たちの優位を確信して、どっと笑う。だが、少女は、それに嘲笑で答えた。
「あなた達、救いようのないバカばかりね。まだ、自分たちが誰を相手にしているのか、わかってないのね?」
「なにいっ!」
 一斉に気色ばむ男達。だが、少女は、うっすらと笑いを浮かべたままで言い放った。
「いいわ、誰を相手にしているのか教えてあげる。代金は、己の命であがなうがいい」
「やっちまえ!」
 男達が構えたサブマシンガンが一斉に火を噴いた。消音器で減衰された射撃音が、月のない夜の闇空に消えていく。
 十丁近い銃口から放たれたクロムキャップ加工された弾丸は、しかし、目に見えない壁に当たったかのように少女の眼前でむなしく弾けた。
「そんな玩具が通用すると思って?」
 少女はにっこりと微笑みながら、唱え続けていた呪文の最後のフレーズを完成させた。
「紅蓮の炎よ、我が刃となって敵を滅ぼせ!」
 その瞬間、少女を中心としてなにかが炸裂した。
 少女の足元に眩く浮かび上がった魔法陣から、灼熱の炎が猛烈な勢いで吹き出して、激しい渦を巻き上げた。爆炎は両横と背後のビル壁に押し出されるように、小路いっぱいを埋めつくす炎の奔流となって、男達に向かって襲いかかる。
 悲鳴を上げる余裕すらなかった。あらゆるものを灼きつくすのに十分な数千度にも達する魔法の業火に包まれた男達は、一瞬にして燃えあがり、たちまち一握りの塵灰と化していく。
「ほんと、おバカさんばかりなんだから…」
 そう言って美しい少女は、くすくすと哄った。
 少女が立っている足元のあたりのほんのわずかな部分だけはなにも変わってはいなかったが、それ以外の少女の周囲は、まるで別の世界のように惨たらしく変わり果ててしまっていた。
 アスファルトは熔け崩れ、そこに立っていたはずの男達の名残は、わずかに黒く燻る薄い陰のようなものしか残ってはいない。路地を囲んでいたビルの全ての窓は吹き飛ぶか熔け落ち、コンクリートの壁も黒く焼け焦げて、瞬間的な熱膨張による衝撃で崩れかけている。
 周囲を囲む熱せられたコンクリートからの余熱の放射で、余人ならば一秒も耐えられないであろう高温の熱風が周囲を満たしていた。魔法の爆炎が消え失せてもあたりをうめつくしたままの、そんな灼熱の嵐のなかで、少女は涼しげにくすくすと笑い続けていた。

 それぞれ一方的な殺戮でもって妨害を企てた男達を排除してからほどなくして、制服姿の少年と少女は、ほぼ同時に目指していた建物の前に姿をあらわしていた。この近辺ではごく珍しい、まだ真新しいビルディングだった。エントランスは床は大理石で、道路に面する壁には大きなガラス素材がふんだんに使われており、とても今の新宿に似つかわしいとは思えないデザインだ。
 建物の全ての明かりは消え落ち、なんの物音もせず、人の気配はないが、今夜の獲物に指定された男が、このビルの最上階にある会長室で息を潜めているのは間違いはない。
 防弾仕様になっているらしい強化ガラス製の両開きのドアの右横に、「清和会」と黒々と墨書された今時珍しい木製の看板が掛けられていた。その木肌の艶の色からして、かなり年期の入ったしろものであることは間違いないだろう。
 少年は躊躇することなく、手にした剣の一振りで、看板もろとも大きなガラス扉を二枚ともぶち破った。
 それを合図にとしめしあわせていたかのように、エントランスフロアの奧の暗闇に潜んでいた男達が、一斉に二人に向かって自動小銃を撃ちまくりはじめた。
 マズルから吹き出す炎が、暗いフロアで激しく瞬く。
 だが、少女の張り巡らした魔法障壁に虚しく銃弾が跳ね返され、男達が己の手にしている武器がなんの役にも立たないことを思い知らされた時には、一陣の黒い疾風と化した少年の身体は、密集した男達の間へと割り込んでしまっていた。
 少年が手に握るチタン合金の直刀が、きらりと金色に光る。次の瞬間には男達の半数が倒れ、そして次の一振りが終わったときには、もはや誰一人として立っているものはなかった。
「ほう、噂には聞いていたが、聞いてる以上にたいした腕だな」
 低い、しわがれた男の声が聞こえた。
 振り向いた少年の向こうに、一人のいかつい男が立っていた。まるでTVの時代劇の登場人物のような、紺色のシンプルな着流しに長差物という出で立ちは、どう見てもこの場所には不似合いだ。
「お前たちだろ、最近売り出し中の『スクールスイーパー』ってーのは」
 着流しの男の問いに、少年は無表情のままで答える。
「そんな名前を名乗った覚えはないね。で、あんたは?」
「朱雀のリョウ。ご同業さ、清和会側のだがね」
 その名前には聞き覚えがあった。この業界でも、かなり名の通った使い手の一人だ。だが、少年はリョウに向かって鼻で哄ってみせた。
「だったら、さっさとかかって来いよ。それとも、命請いのつもりかい?そうなら、さっさと行っちまいな。見逃してやるよ」
「それもいい考えなんだがな。この道で生きてくなら、お互い、そういうわけにもいかねーだろうぜ」
 男も嗤った。と、同時に、腰に吊った日本刀をすらりと引き抜く。名のある名匠に鍛えられたのであろう、綺麗にそった刀身には曇一つ見えず、凛とした冷たい輝きを放っている。これまでに数え切れないほどの血を吸ってきた自慢の業物だ。
 たん。
 先に仕掛けたのは、少年の方だった。
 大理石の床を蹴り、無造作に男との間合いを一気につめる。
 少年は横に構えた長剣を一気に振り抜いた。
 わずかな残像だけがようやく目に映るような素早い斬撃を、だが、男は最低限の動きでかわしながら、少年の背後に回り込むことに成功していた。
「まだまだ甘いぜ、坊主」
 ゴウッ!
 男の構えていた刀が一瞬の間スパークしたかと思うと、次の瞬間には巨大な炎の塊が少年の全身を押し包んでいた。
「ひゃーっはっはっは。どうだい坊主、リョウ様の火炎剣の味は。たっぷりと味わって地獄に落ちるがいいぜ」
 そう言いざま、少年の頭頂に向かって真っ赤に灼熱した刀身を真上から振り下ろす。
 だが、その必殺の一撃は、少年の額に達する前に、がっちりと受けとめられていた。少年の右手によって。
「き、貴様…」
「残念だったな。俺にはあんたの奥の手は通用しないようだぜ」
 少年は紅蓮の炎に包まれたままでニヤリと笑うと、刀身を掴んだ右手に力を込めた。オレンジ色に過熱した刃が、ぐにゃりと飴のように折れ曲がる。
「ひ、ひぃっ!」
 かすれた悲鳴を上げながら二、三歩後ずさった男の腹を、振り向きざまに振るった少年の剣が真っ二つに切り裂いていた。

 焼け焦げたビルの内装からぶすぶすと立ち昇る黒い煙が、夜の闇に吸い込まれるように消えていく。
 最近、新宿に進出してきたばかりの新興暴力組織、清和会を一晩で壊滅させるという荒仕事を難なくやり遂げた少年と少女を出迎えたのは、ひとめで清和会の構成員と同類とわかる黒ずくめの男の一団であった。
 その中でやや年かさの一人が進み出る。今回の依頼のクライアントだ。清和会と激しく対立していた、旧来から新宿界隈を縄張りにしてきた組織の幹部の一人だった。
「京と美紗だったよな。さすがだな、高い金を取るだけのことはある」
 男は上機嫌でそう言いながら、少年に向かって手を差し出した。
 だが、京と呼ばれた少年は相変わらずの無表情のまま、その手を無視して、冷たく言い放った。
「残金をもらおうか」
「若いくせに、食えねえ男だぜ…心配するな、ちゃんと用意してある。おいっ」
 男がそう言うと、ひかえていた男達の内の一人が鈍い銀色のスーツケースを持って進み出た。
「残金だ」
 京は無言で受け取ると、ケースの中も確かめずに、そのまま男達に背を向けて歩き去ろうとする。
 男は、あわてて少年の背中に声をかけた。
「あんた、ジェイを探してるんだってな」
 その一言が、少年の足を止めさせた。
 きっと振り向いた次の瞬間には、手にした長剣の切っ先が男の喉笛に突きつけられている。
「貴様、なにを知っている」
「なんにも知りゃあしないさ。噂に聞いただけだ、あんたがジェイとかいう得体の知れない奴のことを追っかけているってな」
 ジェイ。その名が裏社会で囁かれるようになりはじめたのは、わずかに一年程前のことだ。そして、それは既に伝説の名前となりつつある。ジェイ…裏社会をさらにその裏から支配する男。だが、はたして本当に存在するのか、それすらも定かではない男。しかし、その男の名前が取りだたされるようになってから、裏の世界の勢力図が大きく変わりはじめてきているのは、その世界に身を置く者にとっては、はっきりと実感できる事実であった。
 そして、たった今、京と美紗の手によって壊滅させられたばかりの清和会の新宿進出も、その大きなうねりのひとつとも言われている。
「気をつけることだ。くだらない詮索をしていると命を落とすことになる」
 少年は、命のやりとりに慣れっこになってるヤクザ者ですらも縮みあがるような鋭い視線で、目の前の男を睨みつけながら、低くそう言った。
「ま、まあ、待てよ…、俺はジェイなんて奴のことは、本当にいるのかどうかも知っちゃいねーが、そいつを知ってるっていう奴の名前には心当たりがないこともないんだぜ」
「ほう…」
 少年の目がすうっと細まり、さらに危険な色を帯びはじめている。
「聞きたいだろ?だが、その前に、一つだけ条件がある」
「なんだ、言ってみろ」
 京の突きつけた切っ先が、男の喉の皮膚の上を軽く滑った。表面の薄皮一枚が綺麗に裂けたものの、血管には達していないために血は一滴も流れてはいない。
 男は、どっと冷や汗を滴らせながら、ひきつった笑いを浮かべてさらに続けた。
「う、うちの組を目標にした仕事は受けないでくれねーか。約束してくれるなら、それなりの謝礼も用意する。な、頼むよ。あんたを敵に回したくねーんだ」
 少年の唇が微かに歪んだ。
「いいだろう…約束しよう。で、そいつの名前は?」
「斉龍会会長、竜埼拳吾」



 恵比寿のオフィスビルに事務所を構える斉龍会も、清和会同様に、ここ一年で急速に勢力を拡大してきた新興組織の一つだ。
 翌昼、斉龍会を訪れた京と美紗は、すぐに会長室に通された。そして、今、二人の前で、その厳つい顔には不似合いなニコニコとした笑顔を浮かべながら、革張りのソファにどっしりと腰を沈めて座っている大柄な男こそ、その会長である竜埼拳吾だった。
 四十台後半といったところだろうか。高価そうなスリーピースをきっちりと着込んだ二メートル近い大きな躯は筋肉質で、若い頃はさぞかし腕っ節を自慢していたのであろうことが容易に想像できた。とはいえ、やはり、歳と運動不足には勝てないらしく、腹の廻りにはやや贅肉を加えつつあったが、それは逆に竜埼の身体をより大きくみせる効果もあって、むしろ威圧感を増加させることに貢献しているようでもあった。
「そうですか、ジェイと名乗る男を探しておられる…」
 周辺の組に次々と戦争を仕掛けては完膚無きまでに叩き潰し、自分の縄張りに加えることで急成長を続け、今では関東で一番危険な男とすら噂されることもある斉龍会会長竜埼拳吾。だが、二人の前でにこやかに対応する男は、そんな剣呑な気配を微塵も感じさせることはなかった。
 昨夜と同じく学らんとセーラー服を着た少年と少女の前で、竜埼はにこやかな笑顔を浮かべながら、テーブルに置いてあった湯飲みから熱い緑茶をそっと啜った。
「知っているなら、教えてもらえないだろうか」
「私がそれを知っていたとして、あなたはそれを知って、どうするつもりですかな?」
「それは、あんたには、関係ないことだ」
 男は軽く肩をすぼめてみせた。
「そうですか…。まあ、たしかに、私も、その名前に心当たりがないわけではないですがね。ただ…」
「ただ?」
「うちとしても顧客の情報を外に漏らすとなると、それなりのリスクをしょい込む羽目になるわけですから、それなりの誠意を見せていただきませんと」
「金なら…」
「誠意と言ったでしょう?」
 そう言うと、男は京の背後で無言で二人の会話を聞いていた美紗の全身に粘っこい視線を送った。
「噂どおりの美しいお嬢さんだ」
「それがどうした」
 竜埼の口元に好色そうな笑いが浮かんだ。
「そちらのお嬢さんを、一晩私にお貸し願えませんですかね」
「…どういう意味だ」
「昔から、一度、魔法使いの女の子の味ってのを味わってみたいと思ってましてね。お嬢さんを一晩自由にさせていただけるのなら、私の知ってることはなんでもお話しいたしますよ」
「残念だが…、これは俺の問題で美紗には関係がない。他の選択肢はないのか?」
 男は黙って首を左右に振った。
「そうか、ならば…」
 しゅっと風を切る音が聞こえるよりも速く、少年が抜きはなった長剣の切っ先が竜埼の胸元に突きつけられている。
「お前の命で、情報を買うことにしよう」
「お売りできませんな」
 竜埼は不適に笑って見せた。
「この世界にもこの世界なりの仁義ってものがある。それはあなたもよくご存じのはずだ」
 少年の殺気の迸る冷たい視線を受けとめて、男は平然と言った。
 二人の視線が交錯し火花を散らす。そんな沈黙を破ったのは、美紗の涼やかな声音だった。
「わかったわ。私があなたに抱かれればいいのね」
「ほう…」竜埼は嬉しそうに目を細めた。「お嬢さんのほうが物わかりがいいようだ」
「いいのか?」
 美紗は無表情のまま、そっけなく答えた。
「別に。それほど、たいしたことじゃないもの」
「そうか…」
 竜埼が喜色満面な笑顔を浮かべながら立ち上がった。少女の横にまわって軽く肩を抱きしめる。
「それじゃあ、確かにお借りしますよ。明日、また、この時間に迎えに来てあげてください。ジェイに関する情報はその時にお話ししますよ」
 それだけ言い残すと、美紗の肩を抱きしめたままで、竜埼は嬉々として部屋の奥側についたドアの向こうに消えた。
 それを無言で見送った京は、軽く舌を鳴らした。だが、その後は、もはや興味を失ったかのように元の仮面のような表情に戻って、一人、斉龍会ビルを後にした。

 竜埼に肩を抱かれたままの美紗が連れていかれたのは、同じフロアでも一番奥まったあたりのスペースを区切って設えられた広いベッドルームだった。
 窓ひとつない室内は、すべての壁に暗いワインレッドのベルベット状のマットが張りつめられ、先ほど京と分かれた竜埼の執務室と同様に、外部との音の出入りは完全にシャットアウトされている。天井には白い半透明のパネルが張られており、今はそれが淡く赤っぽい色で発光していた。そのパネル照明の一部には円形の口が開けられていて、そこからやや照度を落として差し込まれる同じく赤みがかったライトが、部屋の真ん中に据えられている大型ベッドの白いシーツをうっすらとピンクに染めている。
「ここは、私の自慢のプレイルームでしてね」
 馴れ馴れしく少女の肩をなでさすりながら、男は美紗の耳元で囁くようにそう言った。
「いろんな仕掛けが仕込んであるんですよ。たっぷりと楽しめますよ。保証付きだ」
 そういってゲラゲラと笑う竜埼の笑顔には、もはや隠すこともなくなった好色な笑みが満面に浮かび、これから味わえるであろう最高の果実への期待感をあからさまに見せつけている。
 肩にかかった腕を振り払いながら、少女は、二、三歩、足を進めた。くるりと振り返って、竜埼を睨めつける。
「さっそく、始めようっていうの?ムードもなにもあったもんじゃないわね」
「へへへ、まあまあ。こういう商売をやってると、うまいもんはさっさと喰っちまうって癖がこびりついてましてね。お嬢さんにお相手していただけるなんて、これが最初で最後、貴重な一晩なんですから、一秒でも惜しいんですよ。どうですか、お願いですから、とりあえず、軽く一発やらせてやってくださいよ。それで落ち着いたら、夕食には、とっておきのレストランにお連れしますから」
 そう言って両手を揉みあわせながら、竜埼はゆっくりと美紗に近づいていく。
「しかたない男ね…」
 少女は軽いため息をついた。「わかったわ、好きにしなさい」
「すみませんねえ、ヤクザってのは、商売柄、こらえ性ってもんがないもんでして」
 男はへらへらと笑いながら、ゆらりと少女の背中側に回り込んだ。
(へっ、今に見てやがれ…)
 そんな腹の中のどす黒い感情を表には微塵も見せず、男はニヤニヤと笑いながら、美紗のふっくらと盛り上がった胸の隆起に背後から手を回した。グローブのようなごつい指先で、セーラー服の布地越しに、その中身の熟れぐあいを確かめはじめる。
「服の上からでは、気がつきませんでしたが、こうして触らしてもらうと、なかなか立派なおっぱいをお持ちで。これは、生で見るのが楽しみだ」
 そんな下衆な言いまわしに、胸を好きなようにまさぐられている少女の表情に、微かな苛つきの色が浮かぶ。
「いやらしい言い方は、やめてもらえないかしら」
「へへへ、すみませんねえ。嬉しすぎて、ついつい口から出ちまうんですよ。これくらいは、大目に見てやってくださいな」
 そう言ってへらへらと謝りながらも、男の指先はセーラーの裾をまくり上げて、その下に入り込み、休むことなく動き続けている。たくし上げられた制服の下からチラチラと覗く白い下着越しに、少女のまだ硬さの残る双乳を男の手が思うままに揉みしだく。
「上着を脱がさせてもらってもいいですかね」
 耳たぶにしゃぶりつかんばかりのところで、男の唇がそう動いた。
「待って、自分で脱ぐわ」
「おお、ありがたい。ストリップまで見せていただけるとは思いませんでしたよ。ささ、すっぱりと脱いで見せてやってくださいな」
 そんな、からかいの混じった男の一言一言が、少女のプライドを微妙に逆立てていく。
「…」
 美紗は、無言で男をにらみつけると、セーラーの上衣に手をかけた。一気に脱いで、足下に落とす。
「全部脱げばいいのね?」
「お願いします」
 少女の問いにニヤニヤと答える男の目を正面から睨み付けながら、美紗はジッパーを下げてスカートを落とし、続けてブラジャーとショーツも脱ぎ捨てた。
 ついに、美紗の瑞々しい裸身が、男の好色な目の前に晒しだされた。素裸になって逆にさっぱりとしたように、少女はその体の何一つも隠すことなく、美しいプロポーションを惜しげもなく見せつけている。
「おおっ、これは、素晴らしい。いやあ、これだけの体を自由にできるのなら、私も、自分の信用を切り売りする甲斐があるというものですよ」
 竜埼の感嘆の声は、心からのものだった。
 まだ十七になったばかりの美紗の素肌は、北欧生まれの母親に似て透き通るように白くきめ細やかで、人形のような美しさだ。
 熟れきる直前の、まだ、成熟の過程にある胸と腰回りの微妙なまろやかさは、それでも、いや、それだからこそ、今の年頃でしか持ちえない芸術的とでもいえるような美しい曲線を形作っていた。
「へへへ、失礼しますよ」
 ごくりと生唾を飲み込んだ竜埼が、その両手を少女の胸の膨らみへゆっくりと伸ばす。
 ミルクを溶かしたような真っ白な二つの膨らみは、触れると手に吸いつくように柔らかで、それていて芯はしっかりとしていて、適度な弾力で男の指の動きに応えてくる。
 男は、さわさわと優しく胸乳の上に手を這わせはじめた。そうしながら、頭を小さく縮めている双丘の頂のピンクの蕾を、中指と薬指の間で軽く挟んで、きゅっきゅっと擦りあげたりもする。
 ひとしきり美紗の形のよい美乳をまさぐり続けていると、次第に乳首が堅く充血して、そのしこりが男の掌にも感じられるようになってきた。
「勃ってきた、勃ってきた」
 男は、そう言ってはしゃぎながら、その一方をねっとりと口に含んだ。ちゅぱちゅぱと、意識的に音を立てるようにしながら、半球状に張り出した少女の白い肉丘じゅうを嘗めしゃぶっていく。
 そうして立ったままで、執拗に両の乳首に舌を這わせ続けて、美紗の胸の隆起がすっかり唾液まみれになるまで舐めつくすと、男はようやく満足したように顔を上げた。
「ささ、続きはベッドの上でいたしましょうや」
 そう言いながら、竜埼は美紗の華奢な裸身を軽々と抱き上げて、部屋の中央に据え付けられた巨大なベッドの上へと運んだ。ゆうに大人が四、五人は寝られるであろう大きな特注のベッドの上に、うやうやしく素裸の少女の身体を横たえる。
 男は、脱ぐ間ももどかしいとでもいうかのように、引きちぎるようにして上着とシャツを脱ぎ捨てると、再び少女の胸に、今度はいよいよ本格的に舌を這わせはじめた。
 自分の唾液でぬるぬると滑る少女の左右の肉丘を交互に嘗めしゃぶりながら、同時に大きな手で膨らみ全体をすっぽりと包み込んで、くたくたと揉みしだく。
「どうです、少しは気持ちよくなってきやしませんか?」
 そう言って赤ら顔で訊ねる竜埼に、美紗は天井をぼうっと見上げたままで、つまらなそうに答えた。
「別に…それより、あんまり強くしないで。痛いわ」
「は、はあ、そいつはすみません…」
 竜埼は、自慢のフィンガーテクニックが通用しないことに、内心で舌打ちをしながら、それではと、今度は下半身へ愛撫の重点を移しはじめる。
 胸の膨らみを玩んでいたごつい指先が、くすぐるように美紗の脇腹をなぞり、ゆっくりと脚の方へ滑りおりる。しばらくの間、軽く閉じあわされた少女の太股を軽く撫でさすってから、指先をその狭間へと滑り込ませた。
「ほう…」
 男の指先が、少女の叢に触れた。淡い茶に煙る美紗の恥毛は、やや控えめにふんわりと柔らかく萌えていて、まるで極上の羽毛のようだ。その素晴らしい手触りを堪能しつつ、竜埼はさらに指を進めた。すぐに、その指腹が美紗の秘めた淫裂をとらえた。
 口を閉じたままの肉の割れ目にそって、中指の先で何度か上下に擦りあげる。つっと力を指先に入れてみると、少女の秘裂は小さく口を開いた。すかさず、指先をその奥へと割り込ませる。
「ん…」
 一瞬、美紗の裸身が小さく震え、硬く閉じられていた少女の唇から、微かな吐息が漏れた。同時に、中指の先に感じたぬるりとした触感が、少女の肉体が生理的な反応を示しはじめていることを、はっきりと伝えてくる。
(へへっ、とりあえず、完全なお人形さんってわけではねえようだな。これならいけそうだぜ)
 竜埼は、美紗が初めて示した女としての反応に、にやりとほくそ笑むと、指と舌とでもって、いよいよ念入りに、少女の硬質な裸身へ、ねっとりとした愛撫を注いでいく。
 左手で両方の乳首を交互に玩びながら、舌先を胸乳から、可愛らしく窪んだ臍のあたり、そしてさらに下腹へと徐々に舐め降ろしていく。少女の閉じたままの両腿を両手でがっちりと抱え込んで、その間の付け根の部分の奥深くへと、こじ開けるように強引に舌先を突き入れる。
 柔らかな陰毛を唾液でべとべとに濡らして、そのシャリシャリ感を味わってから、続けてその奥へぐいぐいと鼻面を押し込んだ。少女の太股のあたりを捕まえた両腕に少しずつ力を入れて、すらりとのびた少女の脚を左右へと押し開き、その隙間に自分の頭を滑り込ませてしまう。
 男の目の前に、美紗の全貌が露わに暴きたてられていた。
 ぴったりと口を閉じた少女の部分は、うっすらとした繊毛に煙り、指先で押し開いてやると薄いピンクの襞肉が美しいたたずまいを見せる。まるで一度も男を受け入れたことのないようにも見える、信じられないほどに綺麗な美紗の花弁は、微かに少女の蜜でぬめっており、押し開かれるとほんのりと女の香りを漂わせて、男の鼻腔をくすぐった。
 竜埼はむしゃぶりつくように、美紗の股間に顔を埋めた。
 両手の指先で少女の清楚な肉裂を大きくくつろげて、その内側に隠されていた秘めた肉層を、しゃにむに舐めしゃぶっていく。大きな舌を巧みに使って肉襞をかき分け、下のほうに小さく口を開いた美紗の入り口のあたりへ丸めた舌先を差し込んでやったり、そこから湧き出しはじめている貴重な花蜜を啜りあげたりもする。
 その一方で、もう一つの女の急所である、敏感なクリットへのアプローチも忘れてはいない。鼻先でクリトリスのあたりをつつきながら、同時に唾で濡らした指先でも肉鞘の上からきゅっきゅっと優しくしごく。そうやって少女の果肉を舐め溶かしながら、時々、包皮の上から押し込むようにして硬くなりはじめた肉芽の先端を露出させると、そこへもねっとりと舌先を絡ませてやる。
「ん…んっ…」
 男の舌先が、小さく頭を見せはじめた真珠のような少女のクリトリスを舐めあげてやるたびに、美紗は低く呻きながら裸身をひくつかせはじめていた。気のせいか、白磁の肌もうっすらと朱みを帯びてきているようにも見える。
「へへっ、たまんねえ。美紗さんのここ、とってもうまいですぜ。さあ、いい子だから、もっといっぱい、蜜をしゃぶらせてやってくださいよ」
「そ、そんな言い方…んっ…」
 男のいやらしい物言いに抗議の声を上げようとしたところで、激しく肉襞を攪拌されてしまい、それ以上は言葉をつなげられなかった。
 いつのまにか、美紗の両脚は男の肩の上に乗せられてしまっていて、その間にすっぽりと埋め込まれた男の頭が縦横に動きながら、少女の果肉を思うままに舐めしゃぶっている。
 片手では少女のバストを丸ごとつかんでたぷたぷと揺さぶり、また今度は鷲掴みにしてぎゅうぎゅうと強く絞ったかと思うと、指先をくい込ませたままで根こそぎに揉みしだいたりと、敏感な少女の膨らみを好き放題にこねくりまわしてる。そうしながら、もう一方の手は、舌先と同様に少女の股間にはりついて、男の唾液と少女の蜜でぬるぬるになったあたりをいやらしくまさぐり続けており、その人差し指はすでに美紗の胎内に第二間接のあたりまで埋め込まれてしまっていた。
 すぽすぽと不規則に指先を出入りさせて、少女の蜜肉をねちっこく掻き混ぜながら、己の巨根を咥え込ませる準備をかねて狭隘な膣口の入り口あたりを少しずつ拡張させていく。既にとろけはじめている少女のその部分の熱さを指先で確かめながら、指先をぶるぶると震わせて、さらに奥深くへと押し込んでやる。
「くふぅっ…」
 ついに、男の人差し指が根本まですっぽりと押し込まれた。その指先に女の一番深いところまでも貫かれてしまって、美紗は苦しげな吐息をこぼしてしまう。
「おおっ、きゅうきゅうと締め付けて。これは具合の良さそうなお×××だ」
 一方で竜埼の方はほくほく顔でそう言いながら、美紗に口づけを迫った。少女が、それをあからさまな嫌悪の表情を浮かべて首を振って避けると、竜埼はにたりと笑って見せた。
「キスはおいやですか?では、さっそく、入れさせていただくことにしましょうか」
 そう言いながら、男は最後まで身につけていた黒いトランクスを脱ぎ捨てた。
「ひっ!」
 美紗の口から、小さな悲鳴が上がる。
 竜埼が誇らしげに突きつけたのは、少女が想像をはるかに越えたおぞましいペニスだった。サイズ自体が常人を遙かに越えた大きさの上、大きく張り出した亀頭の部分が毒々しいまでに鰓を広げていて、それだけでも、少女に、一晩この男のものになるという約束をしたことを後悔させるのに十分なおぞましさではあったが、竜埼のモノの凄さはそれだけではなかった。黒々とした肉柱のあちらこちらから小さな触手状の物体が生えており、それぞれが休むことなく、くねくねと乱雑に動き続けているのだ。生体改造でつくりあげた、竜埼自慢の逸物だった。
「へへへっ、どうです、見た目はグロいですがね。一発入れてみれば、病みつきになりますよ。すぐに、自分からもっとしてくれって、泣いて頼むようになる。サービスにローションをつけておきましょうか」
 そう言って、ベッドサイドから小さな薬瓶を取り出して、中に入っていた暗緑色の液体を己のペニスにたっぷりと塗り込んでいく。奇怪な粘液が発する刺激臭があたりに漂いはじめた。
 それは、竜埼が、ここ一番のために常に用意してある、闇で流通している中でも一番強力な、特製の催淫ローションだった。化学合成された薬剤に魔法技術をプラスされたその薬は、非常に高価で、かつ使用した後数日間は正常な思考力が低下し、ただセックスに溺れ続けるようになるという副作用が出るほどの強烈な薬効をもつ劇薬だった。これまでにも竜埼は、己の肉茎とこの薬の組み合わせでもって、何人も女を半狂乱にさせ、廃人ぎりぎりまでに追い込んでは自分の性奴隷へとつくりかえてきた。そして、今日は、十七歳の美しきマジックユーザーの少女が、その餌食となろうとしているのだ。
「い、…いや、そんな、聞いてないわ!」
 たじろぎながら、後ずさろうとする美紗の足を男の腕ががっちりと掴んだ。そのまま、力任せに引っ張り込むだけで、少女の裸身は軽々と男の腹の下で組み伏せられてしまう。抵抗もむなしく両足首を掴まれ、大きく割り開かれて、両脚を大きくくつろげさせらたままで固定されてしまった。
 真っ白でしなやかにのびた美しい足が、今は無惨に股関節の限界まで折り広げられ、それに引きつられるようにして美紗のクレヴァスもぱっくりと口を開いてしまっていた。男の指と舌先とでさんざんに弄られて、充血して赤みを増した肉襞が、その裂け目から覗ける。
 竜埼は腰の動きを器用にコントロールして、たっぷりと塗りこんだ魔薬で黒緑にヌラヌラとぬらつく男性器官を、少女の淫裂にしっかりと押し当てると、げらげらと嗤った。
「いくぞぉ、今、くれてやるからなあ」
 そう言いながら、自分の唾液と果蜜とでネットリとぬめる肉裂の上で、長大な肉茎をずるりずるりと前後させて、少女の肉裂に自慢の催淫薬をたっぷりと塗し込んでいく。
 男の極太のペニスから生えた触手が淫芯の上を這いまわり、ざわざわと蠢いてクリットや敏感な襞肉を玩ばれるおぞましさに、美紗はついに悲鳴をあげた。
「いやっ…いやあっ!あ、エル・グラン・ラ・ロルレラ…ひいっ!」
 嫌悪の叫びをあげ、なにか魔法の呪文を唱えはじめようとした美紗の腰を、男の手がしっかりと捕まえた。素早く、切っ先の位置をあわせると、そのまま一気に少女の蜜肉を貫きはじめる。信じられないまでに大きく鰓の張った男の肉棒の先端部分が、狭隘な少女の秘径をぐいぐいと押し開き、肉襞を巻き込みながら、ずぶずぶと少女の細腰に埋め込まれていく。
 美紗は、生まれて初めてともいえる限界に近い拡張をその膣肉に強いられ、お腹いっぱいに男の肉棒を咥え込まされて、息もできずにパクパクと口を開け閉めするのが精一杯だった。もはや、呪文の後半を織り続けることもできず、ただ、手放しで泣きじゃくりながら、男のモノをさらに胎内の奥深くまで受け入れさせられていく。
「いやっ…、いやああっっ!」
「どうだ、美紗!思い知ったか、これで、お前も俺様の女だ」
 竜埼は勝ち誇ったように嬌笑しながら、強引に肉のシャフトをさらに奥深くへと送り込んでいく。
 男のグローブのような手の人差し指ですら、根本まで押し込まれれば一番奥に近いところまでも達してしまいかねない、狭隘な少女のヴァギナに、今や、その何倍ものサイズを誇る竜埼の巨根をみっしりと咥えこまさせられて、美紗はその圧倒的な圧力に自失寸前まで追い込まれている。小さな握り拳ほどもある男の亀頭の部分が、少女の最奥のあたりをぐりぐりと激しく抉り続けていて、子宮径はおろか子宮全体がひしゃげかねないほどに貫かれてしまっていた。だが、それでも、男のモノは、そのすべてを美紗の胎内に埋没させきっているわけではなかった。まだ、一握り近く余したままで、男は美紗の泣き顔を楽しげに眺めながら、一寸刻みで、じわじわと腰を進めた。
「赦して…あ、だめっ。…だめなの…もうこれ以上は入らない。ああ、いやっ…壊れちゃうっ!」
「駄目なもんかよ、こんなにきゅうきゅうと喰いしめやがって。ほら、もっと深く入れてやるよ。そら、そらっ」
 そう言いながら、竜埼は、ゆっくりとしたペースで抽送を開始している。自分自身を守るためにいっそう活発に潤滑液を分泌しはじめた少女の器官から、めいっぱいに咥え込ませた長大な肉竿を引き抜いていくと、擦りあげられる膣壁が苦痛のざわめきを肉棒に伝えてくる。とばぐちまで引き抜いてから、ふたたび深く貫きはじめると、押しひしがれる肉襞がメリメリと引きつられて悲鳴をあげる。
「ひぃっ、いやあっ…レル・グスト…レ…あっ、ああっ!」
 男の抽送が徐々に激しさを増していく。もはや、呪文の続きを唱えることなどできはしなかった。うっすらと上気した裸身を男の好きなように屈曲させられ、たんたんと激しく肉棒を打ちつけられて、思うまま揺さぶられ続けた。男の唾液にまみれた白い乳房が、ぷるんぷるんと上下に揺れる。
 その一方で、最初は苦痛でしかなかった肉と肉との交わりが、次第に快感へと変わりはじめていた。
 竜埼のペニスに塗り込められた強烈な催淫ローションが、少女の肉襞に浸透していくにつれて、その部分が灼けるように熱く燃えあがっていく。そこを強引に擦りあげられ、突き出した触覚で抉られ、くすぐられると、電流のような愉悦感が背筋を貫く。それは、すでに、燃えるような官能の嵐となって、美紗の全身を熱く包み込んでしまっていた。
「ふうっ、いや…ああっ、いやあ」
「どうだ、美紗、気持ちいいか。はっきり言ってみろ、気持ちいいんだろ?」
 男に貫かれながら、力が抜けたようにぐったりと横たわった美紗の顔を、艶やかな髪を掴んで揺さぶりながら、竜埼は少女が官能に崩れ落ちつつあることを少女自身の口から言わせようとする。
「ううっ…いやぁっ…」
「嫌じゃねえんだよ、いいんだろ、おい」
「あっ…あ…ああっ」
 少女は口惜しそうに、微かに肯いた。
「はっきり口で言うんだよ、おらっ」
「あ…、い…いいです。…気持ち、いいの…」
「そうだ、素直にしてれば、もっと気持ちよくさせてやるからな」
 竜埼は、そう言うと、先ほどの小瓶を手にして、みっちりと剛直を埋め込んだままの美紗との結合部分へと、タラタラとその中身を注いでやる。
「ああ、いやっ、それはダメぇ」
 新たに流し込まれた魔薬の効果で、その部分の官能が一気に燃え上がり、たまらず少女は全身をくねくねとくねらしながら、屈辱の絶頂へと昇りつめていく。
「いやっ、いやああっ!あっあっ、ああっ!」
 全身をがくんがくんと大きくうねらせながら、ひっきりなしに鼻にかかった喘ぎ声をあげ続ける。最初に見たときの凛とした面影は消え失せ、今では、強烈なセックスの毒に溺れさせられ、好きでもないヤクザ者の腹の下で、その肉棒にいいように玩ばれながら、悦楽のすすり泣きをこぼし続けるだけだ。
「いいか、イくのか美紗」
 そういって、竜埼がキスを迫ると、今度は美紗の方から進んで口づけに応じた。むさぼるように男の口を吸い、ピンクの舌先を男のそれに自分から絡ませていく。たばこ臭い唾が、たらたらと流し込まれてくるのを、おいしそうに飲み干しながら、少女は、いよいよせっぱ詰まった悲鳴を漏らしはじめていた。
「ん、んんっ…」
 美紗は必死でキスをふりほどくと、男を腹の上に乗せたままで、ぐんっと全身を大きく弓なりに反り返らせた。
「イくっていうんだよ、イくって」
「い…くぅっ…ああっ、もう、駄目っ。イくっ、イきますっ」
 竜埼の言葉に操られるように、四肢を痙攣させながら最初のオルガズムへと昇りつめていく美紗。
 だが、長い夜は、まだ、始まったばかりだった。
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その他 | 【2017-02-14(Tue) 05:00:00】 | Trackback:(0) | Comments:(0)
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